世界の古典・名著の核心を短時間で頭に入れることができる一冊・・・【MRのための読書論(165)】
教養
どんな分野の仕事であれ、専門知識と人間関係力だけでは大成できない。さらなる高みを目指そうとするとき、物を言うのは、教養のあるなしだ。そう分かっていても、教養を身に付けるのは容易なことではない。しかし、ここで諦めてはいけない。日夜、仕事に追われている忙しい人間向けの本があるのだ。
古典・名著
『世界の古典名著――有史以来の哲学・思想・文芸・宗教・法律から「現代」の政治・経済・社会学までの書誌集大成(改訂新版)』(自由国民社)では、政治、経済、法思想、思想・哲学、女性論、宗教、教育、歴史・戦記、人生論・処世論、サブ・カルチャーに亘る各分野の古典・名著226が解説されている。
それぞれの著作のキャッチ・コピー、大要、解題が2ページ(ものによっては3~9ページ)に収まっているので、短時間で概要を頭に入れることができる。文字量は少ないが、核心は把握できるように工夫されているので、たいていの場合はこれで十分間に合うだろうが、さらに深く掘り下げたいという向きは、著作そのものに挑戦することになる。
政治
●例えば、マキアヴェリの『君主論』のキャッチ・コピーは、こう記されている。「政治の世界に固有の論理を発見し、近代政治学の基礎を築いた名著」。
●ルソーの『社会契約論』――「フランス革命の原動力となった、今日のデモクラシー思想の原典」。
経済
●マルクスの『資本論』――「資本主義の経済原則と運動理論を分析した、共産主義運動の支柱的理論書」。
●シュムペーターの『経済発展の理論』――「資本主義的経済発展の担い手、手段、メカニズムを理論的に究明」。
●ケインズの『雇用・利子・貨幣の一般理論』――「資本主義を再生させた長期的処方箋」。
法思想
●ルソーの『人間不平等起源論』――「国家権力によって、いかに不平等が変化発展し、人類に不幸をもたらしたかを説く告発書」。
思想・哲学
●デカルトの『方法序説』――「『われ思う、ゆえにわれあり』で、近世合理主義哲学の祖となった著者の思想的自叙伝」。
●ヘーゲルの『精神現象学』――「近代哲学の完成と現代哲学の出発点を画するヘーゲル哲学の誕生点」。
●ニーチェの『このようにツァラトゥストラは語った』――「神の死とその超克を説き、現代人に衝撃を与えた不朽の哲学的散文詩」。
●ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の<精神>』――「ヨーロッパにおける資本主義社会の変遷を分析し、職業倫理観を解明した社会経済学書」。
●ハイデガーの『存在と時間』――「生きていることの意味を現代的に示した現代実存哲学の源流としての主著」。
歴史・戦記
●ギボンの『ローマ帝国衰亡史』――「西ローマ帝国の滅亡ばかりか、中世時代の衰亡の過程として捉えたローマ帝国衰亡の大ドラマ」。
●チャーチルの『第二次世界大戦』――「直接戦争指導者が書いた第一級文献」。
人生論・処世論
●モンテーニュの『エセー』――「自然を楽しみ、自然のままに生きることを謳い上げた著者の人間探究の書」。
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