鳥は脳が小さく、大脳皮質がないから認知能力が低いという説は間違っていた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1901)】
あちこちで、さまざまな色合いのムクゲが咲き競っています。白色、桃色のセイヨウキョウチクトウも頑張っています。
閑話休題、「日経サイエンス 2020年8月号」(日経サイエンス社)に掲載されている「解き明かされた鳥の脳の秘密――もうトリ頭とは言わせない」(O・ギュントュルキュン著、編集部訳)には、興味深いことが書かれています。
鳥は脳が小さく、大脳皮質がないため、認知能力は低いと考えられてきました。ところが、世界中の科学者が鳥の優れた認知能力を発見し始めており、しかも、鳥と哺乳動物の脳はこれまで考えられてきたより遥かに似通っていることが明らかになってきたというのです。
「これらの発見から、より深い意味を持つ知見が浮かび上がってくる。それを理解するにはまず、鳥類と哺乳類が互いに独立に、地球上で脊椎動物が生きていける生態学的ニッチのほぼすべてに広がったという事実を認識する必要がある。また両者は狭い生態系に縛られるのではなく、ほぼどんなところでも生きていける『ジェネラリスト種』になった。新たな問題に対する解決策を素早く見つけ出し、競争相手の一枚うわてをいくには、高度な認知能力が必要とされた。こうして鳥類と哺乳類の両者に働いた強い選択圧が、非常に精巧な認知能力を生み出した」。
「鳥と哺乳動物がどちらも賢くなったこと自体は、さして重要ではない。むしろ興味深いのは、外套の組織が異なるにもかかわらず、ほぼ同一の神経機構が発達することを通じてこれが達成されたことだ。鳥も哺乳動物もニューロンの数を増やして認知的に成長した。哺乳類はそれを脳のサイズを拡大することによって行い、鳥類はニューロン密度を高めることによって行った。両者ともかなり似た接続ネットワークを外套に発達させ、生理的・神経科学的・機能的に同じ特徴を持つ『前頭前野相当領域』を進化させた。認知そのものについても同じことがいえる。学習と記憶、間違い、一般化、意思決定の方法は、鳥も哺乳動物も同じ原理に従っている」。
「この驚くべき類似は、複雑な認知のための神経構造を生み出すにあたって自然から与えられた自由度がごく限られている場合にのみ、可能になる。鳥と哺乳動物は同様の神経構造と思考方法を進化させた。異なる道をたどって同じ場所に達したのだ」。
私のような鳥好きには、嬉しく、誇らしい記事です。