榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

「本=人と情報をつなぐもの」と定義しようという大胆な提言・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1963)】

【読書クラブ 本好きですか? 2020年8月29日号】 情熱的読書人間のないしょ話(1963)

ベニシジミの交尾(写真4の上が雄、下が雌)を目撃することができました。イチモンジセセリ、ヒメアカタテハをカメラに収めました。ガガイモが花を咲かせています。幼い兄弟が魚捕りを楽しんでいます。因みに、本日の歩数は11,424でした。

閑話休題、『本の世界をめぐる冒険』(ナカムラ クニオ著、NHK出版)では、本の歴史と現在、そして未来が説かれています。

「私は、人生で大切なことのほとんどを『本』から学びました。2008年に東京の荻窪で『6次元』という小さなブックカフェをはじめて11年。その間に、読書会、朗読会、トーク、ライブ、編集講座や美術講座などのイベントを1000回以上開催し、世界の50か国以上の本屋さんや図書館をめぐり続けてきました」。

「今、『本』における世界中のキーワードは『場』です。本屋さんはもちろんのこと、本屋さんでなくとも『本好き』を中心に様々な『本をめぐる場』を作るムーブメントが起こっているのです。今の日本で『場』というと、一番わかりやすいのは『ブックカフェ』でしょう。・・・カフェ文化の発展とともに、読書の仕方も変わってきています。イベントや朗読会、読書会なども世界中で急増しています。読書というのは、情報を身体に取り入れ、肉体化する営みです。書いてあることと自分が何らかの形で一体化すればいいわけです。だから、読み方は自由なのです。さらに私は、本は『読む』だけではなくて、『感じる』メディアへと移行していくのだと感じています」。

「(読書会で)人に話すことで自分の頭が整理され、本をより深く理解することができます。本を読んだあとには、『何が書いてあったのか』『自分にとってどういう意味があるのか』を考えるべきです。大事なことは、本を読んでどんな知識を得るかより、読んだあとに何をするかです。いかにアウトプットするかが勝負なのです。読書会は、基本的に会話というアウトプットをおこなう場なので、読書を自分のものにするために非常に有効です」。

「図書館は、本を借りるだけの空間から出会いとコミュニケーションの場へと大きく変化を遂げています。これからの図書館は、本を読んだり資料を借りたりする場所から、人々が集まってみんなで何かをおこなう場所へと変わりつつあります」。

「インターネットが巨大な『本』であるということを述べました。それと同じように、インターネット上のソーシャルメディアも『本』です。さらに、ソーシャルメディアによって発信する個人さえもが『本』になっているのです。『アカウント』を持った個人が情報を発信し、それらが蓄積されることで、人はその情報を無料で読むことができます。『本』を『人と情報をつなぐもの』と定義すると、インターネット上で情報を発信する個人でさえも『本』になるのが現代なのです」。

刺激的な提言に満ちた一冊です。