ハーメルンの笛吹き男、鉄仮面、カスパー・ハウザー、ディアトロフ事件の謎に挑む・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2170)】
千葉・柏の「あけぼの山農業公園」で、カタクリ(写真1~3)が俯き加減に咲いています。同公園の植物担当の元山淳一氏に、ジンダイアケボノ(写真4~6)が満開と教わりました。ソメイヨシノ(写真7~10)、オオシマザクラ(写真11~13)も咲いています。霞んだ筑波山を眺めることができました。我が家のモクレン(シモクレン)も頑張っています。
閑話休題、『中野京子の西洋奇譚』(中野京子著、中央公論新社)は、歴史の謎好きには愉しめる一冊です。
とりわけ興味深いのは、ハーメルンの笛吹き男、鉄仮面、カスパー・ハウザー、ディアトロフ事件の4つです。
●ハーメルンの笛吹き男――
1284年にドイツの小さな町ハーメルンで、130人の子供が忽然と消えた話は、グリム兄弟の『ドイツ伝説集』でよく知られています。しかし、具体的に記された最古の記録、15世紀半ばの『リューネブルク手稿』には、「ネズミも市側の裏切りもない。単に見知らぬ男が来て笛を吹き、子どもらと共にいずこともなく消え去った」としか書かれていなかったというのです。いったい何が起こったのか、多くの論考が発表されてきたが、私は、阿部謹也が『ハーメルンの笛吹き男――伝説とその世界』で展開した「植民のための大量移民」説に与する者です。
●鉄仮面――
ルイ14世の時代に、34年間も幽閉され、1703年にバスティーユ監獄で息を引き取った、仮面を被せられた男の正体については、当時から現在に至るまで、さまざまな説が提出されてきました。ハリー・トンプソンが『鉄・仮・面――歴史に封印された男』で発表した説――鉄仮面は、ルイ13世の王妃が銃士隊隊長との間に作った秘密の子――も紹介されているが、私はこの説の信奉者です。
●カスパー・ハウザー ――
1828年、南ドイツのバイエルン王国に忽然と現れたカスパー・ハウザーと名乗る少年が、15年以上幽閉されていた、隣国のバーデン大公国の跡継ぎではないかと、大騒ぎになります。自分の息子を跡継ぎにしたい大公妃ルイーゼの企みだったという説が紹介されているが、なかなか説得力があります。
●ディアトロフ事件――
冷戦下のソ連で起きた未解決事件、デァアトロフ事件は、ウラル科学技術学校(現・ウラル工科大学)のエリート学生たちを中心とした若者10人の一隊が、真冬のウラル山脈でのスキー・トレッキング中に起こりました。全員が凄惨な遺体で発見されたことに対し、いくつも仮説が発表されたが、著者は、ドニー・アイカーが『死に山』で論証した説を支持しています。超低周波音の発生が原因だというこの説に、私も賛成です。