運命の女神は、準備している者だけに微笑む・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2212)】
芳香を放つニオイバンマツリ(写真1~5)の花は、咲き始めは紫色だが、やがて白色に変わっていきます。トキワサンザシ(写真6、7)、カクテル(コクテール。写真8~11)、アカツメクサ(ムラサキツメクサ。写真12)が咲いています。ヒメウラナミジャノメ(写真13、14)をカメラに収めました。
閑話休題、『人生の教養が身につく名言集』(出口治明著、三笠書房)には、出口治明が選んだ名言と、それに対する彼の熱い思いが溢れています。
●すべての真の生とは出合いである――マルティン・ブーバー『我と汝・対話』。
「『偶然』を大切にする人を運がいいと呼ぶ。『適切なときに適切な場所にいる』人。・・・風が吹いていないときは、何をやってもダメだし、逆に、風が吹きはじめたら、何をやってもたいていうまくいく。だから、今は風が吹いていない時期だと思ったら、シタバタとムダな抵抗はしないで、淡々と過ごしていく。ただし、いつ風が吹くかは誰にもわからないので、風がいつ吹いても全力で走れるよう平素から準備をしておくことが大切です」。私は、逆境に置かれたときは、「いざというときのために、刀はいつも磨いておくぞ」と呟いていました。
●君たち人間ってのは、どうせ憐れなものじゃあるが、ただ一つだけ、こいつはじつに強力な武器を持っているわけだよね。つまり、笑いなんだ――マーク・トウェイン『不思議な少年』。
「よく笑い、よく眠る。悩みの7割はそれで解決。・・・非常事態ではまず『しっかり眠る』」。私も、激しく落ち込んだとき、どうにも解決策が見つからないとき、イライラ感が最高に高まったときは、頭から布団を被って早めに寝てしまうことにしています。
●ラディカルであることは、物事を根本において把握することである――カール・マルクス『ヘーゲル法哲学批判序説』。
「『本当にそうだろうか?』――この一言で考えが深くなる。・・・そもそもの前提がおかしければ、その上に組み立てられる思考もおかしなものとなります。そのおかしな思考で議論をすれば、状況はどんどんおかしなほうへ行くばかりです。だから、まず何よりも、そもそもの『前提』を疑ってみることが肝要なのです」。カール・マルクスの思想には賛成しかねるが、この言葉には大きく頷いてしまいました。
●専門のことであろうが、専門外のことであろうが、要するに物事を自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を説明できるようになるため。たったそれだけのことです。そのために勉強するのです――山本義隆。
「読書の質は『アウトプット』で決まる」。書評というアウトプットを連日実行している私は、この言葉の正しさを強く実感しています。
●巨人の肩に乗っているから、遠くを見ることができる――ベルナール・ド・シャルトル。
「ゼロから勉強しない。巨人の肩を借りる。・・・『新刊書を読むよりも、まず古典を優先しましょう』といつも話しています。読書をするなら、まず古典を読むことをお勧めしたい」。ベルナール・ド・シャルトルのこの言葉は、私の最も好きなものの一つです。
●酒を飲め、それこそ永遠の生命だ、また青春の唯一の効果だ。花と酒、君も浮かれる春の季節に、楽しめ一瞬を、それこそ真の人生だ――ウマル・ハイヤーム『ルバイヤート』。
「仕事は人生を楽しめてこそ、がんばれる。・・・『どうでもいいもの』だと思うからこそ、思い切って仕事ができるのではないでしょうか。なぜなら、上司になんと言われようと、たとえ失敗しようが、左遷されようが、しょせんは『どうでもいい』ことなのですから。自分の『やるべきこと』を、自分の信念に従い自分が納得できるまで真剣に取り組んでいけばそれでいいのです。それが私の仕事に対する基本的なスタンスです」。猛烈企業戦士だった私としては、出口のこの言葉に若い時に出会っていたらと悔やまれます。
●力強いとは、相手を倒すことではない。怒って当然というときに自制できる力を持っていること――ムハンマド。
「仕事は、怒ったら負け。・・・なぜなら、怒りの感情に心が支配されてしまうと、ものの見事に判断力が鈍ってしまうからです。そのようなときの言動や行動にロクなものはありません」。怒りっぽかった私には、思い当たることがたくさんあります。この言葉にも、若い時に出会いたかったなあ。
●運命が何を考えているのかは、誰にもわからないのだし、どういうときに顔を出すのかもわからないのだから、運命が微笑むのは誰だって期待できるのである――ニッコロ・マキャベリ『政略論』。
「先延ばしにした瞬間、運命の女神は逃げていく。・・・運命の女神は、準備している者だけに微笑む。・・・つねに勉強を忘れず、自分の体を知り、しっかりコントロールし続ける。このように、つねに『I’m ready』の状態にしておけば、自分にいい流れが来たなと感じたとき、全力で走ることができます。そして、運命が微笑んでくれたら、見事に、チャンスをつかむことができるはずです」。私は、物事が成功するか否かは、運が9割と考えています。だからこそ、残りの1割、すなわち、いざという時に備えて実力を養っておくことの重要性を、体験から痛感しているのです。