今森光彦がつくり上げた里山では、75種のチョウが見られるんだって・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2318)】
【読書クラブ 本好きですか? 2021年8月22日号】
情熱的読書人間のないしょ話(2318)
アブラゼミ(写真1)がクモの網に引っ掛かっています。目の前を、長さ7cmほどの、ガのセスジスズメの幼虫(写真2)が足早に横切りました。その近くでは、ミミズに数え切れないほどのアリが群がっています(写真3)。コミスジ(写真4)、イチモンジチョウ(写真5)をカメラに収めました。ナツズイセン(写真6、7)が咲いています。草原の湧き水(写真8)です。今宵は満月です。
閑話休題、『小さな里山をつくる――チョウたちの庭』(今森光彦著、アリス館)は、何とも羨ましい大型写真集です。
本書では、著者がチョウたちを呼ぼうと、30年以上かけて比叡山の麓につくり上げた57m四方の里山の四季と、そこで見られるチョウたちが鮮明な写真で紹介されています。羨ましいというのは、私も、どんなに小さかろうと自分の里山を持ちたいと、密かに願っていたからです(もちろん、実現できていませんが・・・)。
「春――土手からフキノトウが顔を出した」、「初夏――田んぼから(アマガエルの)合唱がきこえてくる」、「夏――光がまぶしい季節」、「秋――ころもがえの季節」、「冬――小さな命がねむるとき」のそれぞれに訪れるチョウたちの生態写真が多数掲載されています。「現在、チョウの庭では75種類のチョウが見られますが、そのうち敷地内で幼虫を見つけているのは、71種です。こんなにたくさんのチョウたちがこの庭を気に入ってくれるなんて、ほんとうにうれしいです」。
著者は、「美しい場所とは、歓声をあげるような絶景ではなく、田んぼやため池、雑木林などがこぢんまりと集まっている、なんでもないところです」と述べているが、全く同感です。著者の里山のため池にトンボたちも呼んでほしいと思うのは、私のわがままでしょうね。