安野光雅の魅力が溢れる追悼集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2457)】
エナガ(写真1~4)、アトリの雄(写真5~10)、アオジの雌(写真11~16)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は12,134でした。
閑話休題、『絵の旅人 安野光雅』(思い出を語る人たち・伊藤元雄編、ブックグローブ社)は、安野(あんの)光雅の追悼集です。
●数学への関心について――
「安野さんは、遠山啓著『無限と連続』『数学入門』などを何度も読んだと書いている。・・・安野さんは『本を読む』でこの『数学入門』を取り上げ、『はしがき』の一節を引用している。<デカルトは『この世の中でもっとも公平に分配されているのは良識である』といったが、数学の土台になる考え方も、万人が共有している良識以外の何ものでもない。だから数学を勉強していくためには誰もが持ち合わせている良識と、それに多少の根気が必要なだけである>。・・・安野さんの数学への関心はさらに高まり、かなり現代数学を勉強されたようだ。その成果が『美しい数学 集合』という作品に現れている」。
●老後について――
「安野光雅先生は、94歳まで生きられた。『仕事がなくなったとしたら、どうなるんだろう。何をするんだろう』『そうしたら、やっぱり一人で絵を描いているだろうね』と書かれている。4000余の絵画を残され、何100冊という本を残された安野光雅先生。最後まで、描く、書く、という自己表現をされた安野光雅先生。人間の寿命が100年だとしたら、書かれたもの描かれたものはその何倍もの時間を生きていく。それは、安野光雅先生の存在が永遠になるということと思う。90歳を超えてなお衰えをしらない創作意欲で作品が残った。特に、『小さな家のローラ』3部作、『赤毛のアン』『メアリ・ポピンズ』『あしながおじさん』『銀の匙』等の名作文学を絵にされたもの、京都内外を描かれた『洛中洛外』シリーズなど。これらは、時をこえてこれからの若い世代、中堅世代、熟年世代に鑑賞し続けられていくことと思う。そして、その作品から勇気づけられ、新たな人生を開拓される次世代を生きるパイオニアが生まれることであろう」。
●愛読書について――
「先生が無人島に持っていくほどの愛読書『森鴎外訳・即興詩人』。その原文を交えながら書き下ろした『繪本 即興詩人』の見返しには、特注の原稿用紙に原文を書写されたものをそのまま使うようにと渡された。細部までアイデアが詰まった美しい手書き文字を是非ご覧いただければ嬉しい。誰に対しても、いつもユーモアと心くばりの溢れる、大きく優しい大先輩でした。出会うことができ、一緒に過ごせた経験は、私の宝物です」。ハンス・クリスチャン・アンデルセン著、森鴎外訳の『即興詩人』(岩波文庫)と大畑末吉訳の『即興詩人』(岩波文庫)は私の愛読書であるが、安野の『繪本 即興詩人』も読みたくなってしまいました。