これほど多くの日本固有植物が身近にあることが分かり、なぜか、嬉しくなってしまった私・・・【山椒読書論(726)】
『ウォーキングで出合う!! 日本の固有植物図鑑』(海老原淳監修、『ウォーキングで出合う!!日本の固有植物図鑑』編集委員会編、山川出版社)には、ウォーキングで出合える日本固有植物117種が収載されている。
「この10年間でDNAの塩基配列情報を利用した研究が飛躍的に進み、日本固有種の起源や系統関係に関する新しい研究結果が次々と明らかにされている」。本書では、この成果が積極的に取り入れられている。
何と、ウラシマソウ、スカシユリ、ヤマユリ、ホトトギス、キツネノカミソリ、フクジュソウ、シモツケソウ、キカラスウリ、リンドウ、カントウタンポポ、シロバナタンポポ、シデコブシ、ホオノキ、クロモジ、ツゲ、マンサク、フジ、ウワミズザクラ、ヤマザクラ、オオシマザクラ、ナツグミ、キブシ、ブナ、ガクアジサイ、サザンカ、ヒメシャラ、アセビ、ヤマツツジ、アズマシャクナゲ、サツキ、ハコネウツギ、ソテツ、カラマツ、スギ、ヒノキ、アスナロ――も日本固有種だというである。
毎日の散策中に撮影した植物の種名を調べるのに苦労することが多い私にとっては、それぞれの植物に添えられている説明が勉強になる。
例えば、ヤマホタルブクロには、こうある。「本種はホタルブクロの変種で、ホタルブクロによく似ているが、本種のほうが全体に毛が多く、花も少し大きく、花色がやや濃い。本種とホタルブクロを見分けるポイントは萼で、ホタルブクロの萼には反り返る付属物があるが、本種にはその付属物がなく、膨らみがあるだけである」。
トチノキは、こうだ。「日本固有種のトチノキの果実は平滑だが、同じ属のマロニエ(セイヨウトチノキ)は果実にトゲがある。花が紅色のベニバナトチノキは、北アメリカ原産のアカバナトチノキとマロニエの雑種で、1枚の葉は切れ込んで5枚の小葉に分かれる(トチノキ、マロニエは7枚の小葉に分かれる)。いずれも街路樹に使われる」。
これほど多くの日本固有種が身近にあることが分かり、なぜか、嬉しくなってしまった私。