樹木の生存戦略から人間も学ぼう・・・【山椒読書論(729)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年8月17日号】
山椒読書論(729)
『まっすぐだけが生き方じゃない――木に学ぶ60の知恵』(アニー・デービッドソン絵、リズ・マーヴィン文、吉村謙一監修、栗田佳代訳、文響社)は、樹木の生存戦略から人間も学ぼうと呼びかけている。
「樹木は、環境に適応すること、生き延びること、繁栄することの達人なのです」。
●ポプラ――助けられたり、助けたり、●ニレ――なんでもひとりで、抱え込まない、●モミ――休むチャンスを、見逃さない、●アカシア――ひとりで無理せず、助け合おう、●ダグラスモミ――おとなりどうし、仲良くしよう、●サンザシ――まっすぐだけが生き方じゃない、●ヌマミズキ――使えるものは、何度も使おう。こんな具合だ。
樹木の戦略とは、どんなものだろうか。例えば、アカシアのそれは、このように説明されている。「サバンナで育つアカシアも、友人たちへの気配りにあふれた木です。レイヨウやキリンが、葉をつまみ食いしに立ち寄ると、そのアカシアの木からは、エチレンガスが発散されます。『葉っぱを食べるやつらが来たぞ!』と、まわりのアカシアの木たちに知らせるのです。警報を受けた友人たちは、葉のなかにタンニンを生成します。おなかを空かせた草食動物には毒ともなる、苦い味の物質です」。