榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

メタバースという怪物がやって来る・・・【MRのための読書論(201)】

【ミクスOnline 2022年9月22日号】 MRのための読書論(201)

メタバースという怪物

インターネットが個人の行動も企業活動も大きく変えてしまったが、「メタバース」なる怪物がインターネットを超える大変動をもたらそうとしている。このような時、メタバースが何たるかを知らずにいるのは、地図も磁石もスマホも持たずに大吹雪の中を進むようなものだ。このような危機感から、私のようなIT苦手人間でも理解できる入門書『メタバースがよくわかる本――図解ポケット 仮想世界の新ビジネス』(松村雄太著、秀和システム)を手にした。

一問一答

●メタバースとは何か――
自身のアバターが活動できるインターネット上の仮想空間。

●アバターとは何か――
利用者のシステム内での分身として画面上に登場するキャラクター。

●メタバースとWeb3の相性は――
ブロックチェーンによってWeb2.0の問題点を解消する分散型のWeb3と、メタバースは相性がよい。

●ブロックチェーンとは――
コンセンサスアルゴリズム(ブロックを追加する際のルールとなるコンセンサス<合意>形成を行うアルゴリズム(方法)や、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み)など、さまざまな仕組みを組み合わせることで、高度なセキュリティ体制を実現している。

●メタバースの重要な要素であるXRとは――
XRは、クロス・リアリティ、エクステンデッド・リアリティの略で、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術・サービスの総称。

●メタバースが成功する条件は――
楽しいか? 実用性があるか? 儲かるか?

●メタバースが受け容れられる鍵となるUGCとは何か――
一般ユーザーによって作られたコンテンツ。

●メタバースと従来のSNSは共存するか――
従来のSNSと、ある意味新しいSNSであるメタバースのさまざまな組み合わせが誕生するだろう。

●メタバースで暮らす未来とは――
ほとんどの時間をメタバースで過ごし、メタバース内で十分な金を稼いだり、仲のよい友達とだけ遊んで暮らす人が増えるだろう。

企業のメタバース活用

後半では、さまざまな分野における企業のメタバース活用事例が具体的に示されているので、ビジネス面でも役に立つだろう。

例えば、医療・福祉については、こう記されている。「ヘルスケア領域では、フィットネスやスポーツのバーチャルトレーニング、認知症患者などの視覚体験プログラム、研修やスキルトレーニングにXRが活用されています。また、臨床医療でもXRが活用されています。手術前のシミュレーションや遠隔診断でXRの実用化が始まっており、従来より多くの人に、医療サービスを届けることができるようになってきました。さらに、アステラス製薬は、医師への情報提供手法をメタバースで構築しています。メタバースを活用して、医療分野における、より質の高いオンラインコミュニケーションの機会の創出に取り組んでいます」。