榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

メモが、あなたの夢を実現してくれるというのは、本当か・・・【MRのための読書論(180)】

【ミクスOnline 2020年12月21日号】 MRのための読書論(180)

メモ魔

私は、学生時代からの、年季の入ったメモ魔であるが、『メモの魔力』(前田裕二著、幻冬舎)には教えられることが多い。

「なぜ僕は、ここまで狂ったように『メモ』にこだわるのか。それは、この『魔法の杖なんてない』と言われる世知辛い社会において、メモこそが自分の人生を大きく変革した『魔法の杖』であると直感しているからです。そして、今後も、その魔力で僕の人生を良い方向に導いてくれるであろう、という確信があるからです。一体、どんな魔力なのか。まず、メモをとると、あらゆる日常の出来事を片っ端からアイデアに転換できます。一見価値のなさそうな、普通の感覚では誰もがスルーしてしまう小さな事象でさえ、メモすることで、それはアイデアになる。メモの魔力は、日常をアイデアに変えるのです」。

人生のコンパス

「自分のことがわかっていると、明確な価値観や死生観に沿って、正しい方向に向かってオールを漕いでいくことができます。生きるという航海を正しく進めるための指針、いわば、『人生のコンパス』を手に入れることができる。コンパスとはすなわち、『人生の軸』ですが、これを持っている人は、あまり迷いません。軸を持っていない人は、いつも何かにつけて迷ってしまい、勢いよく前に突き進むことができません。自分が何に喜びを覚えるのか、何を幸せと思うのか、が明確になってこそ、大きな推進力を持つことができます。自分を知り、確固たる『人生のコンパス』を手に入れる。そのためのツールとして強い力を発揮するのが、『メモ』なのです」。

「メモの魔力は、僕らの夢をも、現実のものにしてくれます。一度きりの人生において『こんなことを実現したい!』『あんなことがしてみたい!』『こうなったらいい!』ということを、ただ心の中で思っているだけでは、ほとんどかないません。いつの間にか気持ちが薄れてしまったり、跡形もなく消えてしまったり・・・。我々が持つ多くの願望は、その程度のものです。これを防ぐのが、メモです。そうした夢、願いを紙に書き付けることで、その想いは格段に強くなります。紙に書いたものを、何度も見返すことで、その想いは本物へと成長し、そうして強くなった願いは、心の中にへばり付いて離れなくなります。想いを持ち続けることができるのです」。

メモによって鍛えられるスキル

①アイデアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)。
②情報を「素通り」しなくなる(情報獲得の伝導率向上)。
③相手の「より深い話」を聞き出せる(傾聴能力の向上)。
④話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)。
⑤曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる(言語化能力の向上)。

最強のフレームワーク

①インプットした「ファクト」をもとに、
②気づきを応用可能な粒度に「抽象化」し、
③自らのアクションに「転用」する。

「抽象化は慣れないうちは特に時間がかかる作業ですが、一生懸命考えて抽象化訓練を続けると、かなり短い時間でできるようになります。・・・ものごとは時間をかけて考えれば、すべてはシンプルな言葉、すなわち抽象概念に落とし込めます。山崎まさよしさんの『セロリ』という曲をご存じの方は、歌詞を思い出してみてください。<なんだかんだ言っても つまりは 単純に君のこと 好きなのさ>。・・・具体的要素をすべて抽象化して、単純に一言でまとめると、つまりは、『君のことが好き』という結論が導かれる。・・・この『具体をシンプルな言葉にまとめる』思考プロセスがまさに、抽象化です」。抽象化とは、本質を考えることなのだ。そして、抽象化の具体的な方法として、「どんな(特徴)?」、「なぜ(理由)?」という問いかけを繰り返すことが推奨されている。すなわち、HowとWhyを上手に活用すればいいのである。

メモ活用術に止まらず、人生論としても存在感を発揮しているところが、本書の大きな魅力となっている。