世の中には、こういう小説もあっていいのでは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2984)】
ムクゲ(写真1、2)、ノウゼンカズラ(写真3)、アメリカノウゼンカズラ(写真4、5)、アガパンサス(写真6~8)、キキョウ(写真9、10)が咲いています。アキアカネ(写真11~14)、ツバメ(写真15)をカメラに収めました。我が家の庭師(女房)から、ツユクサが咲いているわよ、との報告あり。よその植物には敏感なのに、うちのには気がつかないんだから、と言われてしまいました(汗)。
閑話休題、斎藤美奈子が『本の本――書評集1994~2007』(筑摩書房)の中で、「斎藤綾子は現在もっとも刺激的な官能小説を書ける女性作家。女性ファンも多い、この本は性の快楽を貪欲に求める女の子たちを描いた短編集で『なんてエッチなのっ』と身悶えできること請け合い」と評している『ルビーフルーツ――恋愛小説集』(斎藤綾子著、双葉社)を手にしました。収められている『もう一度あの海へ』は、こんなふうです。
「喜美子と二人で男を共有し、どちらが男を本気にさせ、どれだけ残酷に捨てるか、そんなゲームを始めたのは、大学三年の夏からだった。・・・それ以来、サッカーボールを蹴ってパスするみたいに二人で男を弄んで、最後に崖から蹴り落とす遊びを繰り返すようになった。二人の女を物にしたと思い上がっている男に、『本当に愛しているのは、おまえだけだ』と言わせて、『私は、いらない。あんたにあげる』と、喜美子とお互いに押しつけあって逃げ回るのが、癖になるほど面白くってやめられなかったから。木村にだって、そうするはずだったんだけど・・・。喜美子にも私にも、男はゲームを進める駒でしかなかった。それなのに一回りも年が離れたあいつと付き合いだして、気がついた時には二人とも、あの中年男にいかれてしまっていたんだ。だがあいつは、どちらも選ぼうとしない。波のように二人の女を弄んでいる。喜美子も私も、じゃれ合うのを通り越して、傷付け合うところまできていた。二人とも、もうどうしようもないほど疲れ果てている」。
「こみ上げる歓喜の雌叫びを噛み殺して男の首に両手を絡ませる。太い舌が唇を割って入り、その尖端が上顎の細い骨をなぞるようにして動き回る。セックスしてみて、喜美子がこの男を一人占めしたがるわけがよくわかった。女の恍惚のスイッチを探り当てるのが、悔しいほど巧いのだ。冷やかに採点してやろうと思っても、その余裕がなくなるほど感じてしまう」。「雄叫び」という言葉は知っているが、「雌叫び」には初めて出会いました。なお、この後も、生々しい描写が続くが省略します。
世の中には、こういう小説もあっていいのでは。