榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

口にくわえた筆で表現された四季の花々の詩画集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(77)】

【amazon 『風の旅』 カスタマーレビュー 2015年5月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(77)

我が家の庭の片隅で、サツキが控えめに咲いています。一方、散策中に出会ったサツキは、びっしりと敷き詰められた絨毯のようでした。因みに、本日の歩数は13,249でした。

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閑話休題、私は星野富弘の絵が大好きです。彼は中学校の体育教師になって間もなく、クラブ活動の指導中に頸椎を損傷し、手足の自由を失ってしまいます。ですから、絵も、添えられた詩も、口に筆をくわえて表現されたものなのです。

詩画集『風の旅』(星野富弘著、立風書房)に収載されている四季の花々は、いずれも、花を慈しむ思いが籠もった温かい筆致で描かれています。

サツキの絵には、こういう詩が添えられています。「私の指の間に さつきの花を はさんでくれたっけね それから君は 自分の義足のくつひもにも 同じ花をさして 言葉ではなかったけれど 『頑張ろう』って言ったっけね 元気かい あの時の赤い花が咲いているよ」。

紫のハナショウブには、「黒い土に根を張り どぶ水を吸って なぜ きれいに咲けるのだろう 私は 大ぜいの人の 愛の中にいて なぜ みにくいことばかり 考えるのだろう」という詩が寄り添っています。

心がざらついたとき、この詩画集を開くと、心が洗われるような気がします。