榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

植物は、形も匂いも動きも官能的だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(796)】

【amazon 『官能植物』 カスタマーレビュー 2017年6月27日】 情熱的読書人間のないしょ話(796)

我が家の庭の片隅で、黄色いユリが咲き始めました。散策中に、キキョウが紫色の花を咲かせているのを見かけました。因みに、本日の歩数は10,519でした。

閑話休題、『官能植物』(木谷美咲著、NHK出版)で取り上げられている35の植物は、いずれも妖しい雰囲気を漂わせています。

写真も文章も妙に官能的なのです。

「花は生殖器。交配は、より艶めかしい生殖器を生み出すことに他ならない」。

「匂いは性と密接に結びつく。・・・嗅覚は、飼い慣らされていない根源的な感覚であり、匂いは、己の獣性を刺激するものでもあるのだ。本能を刺激する獣臭を放つのは、人間のみならず、動物のみならず。植物の中にも、そうした匂いを発するものがある。例えば食虫植物のドロソフィルムは、独特の動物的な匂いを発する」。

「ジャスミンの香りの魅力は、微量な糞尿の匂いにこそある。毒が、その量によっては時として薬にもなりうるように、悪臭と芳香は紙一重。すべては同じところから発せられる。人間を動物に戻す匂いが、官能の扉を開ける、一つの鍵になる」。

妖しく官能を刺激する本書に耽溺するのは、かなり危険です。