ワタル、ゼガ、ケートの大冒険は、これにて、一件落着!・・・【山椒読書論(809)】
【読書クラブ 本好きですか? 2023年9月8日号】
山椒読書論(809)
昭和20~30年代のことだが、子供時代の私は、やれ熱っぽいだの、風邪気味だの、腹の調子が悪いだのと、掛かり付けの河見(こうみ)小児科医院をしょっちゅう訪れていた。そして、その狭い待合室の本棚に並んでいた山川惣治の『少年王者』と『少年ケニヤ』シリーズを読むのを楽しみにしていた。当時のワクワク感を再び味わいたくて、絵物語『少年ケニヤ』(山川惣治著、角川文庫、全20巻)を購入した。
『少年ケニヤ(20)』――ワタル、ゼガ、ケートは、戦争孤児の双子ポイとトーチをナイロビの伯父に無事に送り届ける。マウマウ団が爆破しようとした列車にワタル、ゼガ、ケートが乗っていたが、ワタルの父・村上たちのおかげで、すんでのところで爆破を免れる。ワタルと父との再会! ワタルと父が6年ぶりに母・葉子と再会! 生後10カ月で誘拐されたケートが父母と12年ぶりの再会! これら全てを見届けたゼガは故郷のケニヤへ。ゼガの別れの言葉――「三人で、どんなつらいことがあっても、我慢してとうとう幸せになれたことを忘れずに、正直で親切で、立派な人になるんだよ。ワタルは、もっとずっと小さかった時に、危険をおかしてわしを助けてくれてありがとう。わしも一生忘れないよ」。
ワタル、ゼガ、ケートの大冒険は、これにて、一件落着!