榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

愉しみながら医学史が学べる、お得な一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3176)】

【月に3冊以上は本を良く読書好きが集う会 2023年12月27日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3176)

アオサギ(写真1、2)、ジョウビタキの雌(写真3、4)、メジロ(写真5)をカメラに収めました。タラヨウ(写真6~8)、キンカン(写真9、10)、パパイア(写真11)、カラスウリ(写真12)、ナンテン(写真13)が実を付けています。雲の合間から満月が顔を覗かせています(写真15)。

閑話休題、『世界史は病気が変えてきた――歴史のウラがわかる医学史入門』(坂井建雄著、廣済堂出版)は、興味深いエピソードがてんこ盛りです。

例えば、「黒死病と大航海時代の夜明け――生活水準を向上させ、インド航路を拓いた恐怖の病」、「天然痘とアメリカ先住民――征服者のもたらした疫病はどんな武器よりも強力だった」、「コレラとベルエポック――コレラこそが花の都パリの生みの親」、「病理解剖とナポレオン――ヒ素毒殺説をねじ伏せた最先端技術」といった具合です。

それならば、ナポレオンの死因は何か、が気になりますね。「毒殺説も流れましたが、根拠に乏しいものです。コルシカ出身者を含めた医師16人の立ち合いで実施された当時の剖検報告書には、胃の出血を伴う胃の進行悪性腫瘍とあります。近年公表されたナポレオンの担当医の手記にも、『頭痛、右半身の痛み、<相当の>高熱、動悸』に加え、『全般性不安障害や抑圧感』にも悩まされていたこと、本人が激しい痛みを訴えたため、左上の歯1本を抜かなければならなかったことなどが記されていました。この記事を掲載したCNNは、胃がん説が濃厚になったと結論づけています。ここに名の出た『剖検』とは『病理解剖』の略語で、死因や病変の本体、種類、程度などを調べるためのものです。病理解剖などの体内を可視化する診断技術は、ちょうどこの頃より広まり始めたのです」。

愉しみながら医学史が学べる、お得な一冊です。