司馬遷の『史記』に結実する中国古代の歴史叙述の歩み・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3284)】
【読書の森 2024年4月9日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3284)
我が家の庭師(女房)から、フリージア(写真1、2)が咲き始め、いい香りがするわよ、との報告あり。散歩中のイヌ――トイ・プードル(写真3~6)、ミニチュア・ダックスフンド(写真7)、シーズー(写真8)、ミニチュア・シュナウザー(写真9)、チワワ(写真10)をカメラに収めました。
閑話休題、『古代中国王朝史の誕生――歴史はどう記述されてきたか』(佐藤信弥著、ちくま新書)では、中国の正史二十四史のトップ・バッターに当たる司馬遷の『史記』に至る中国古代の歴史叙述の歩みについて考察されています。
『史記』について、目から鱗が落ちるようなことが書かれています。
第1は、『史記』の文章は司馬遷の創作と考える人が多いが、さまざまな史料を参照・引用して書かれていること。
第2は、司馬遷は、前代の秦や始皇帝に対する批判にかこつけて、今の統治者である前漢の武帝を暗に批判していること。
第3は、司馬遷が、匈奴との戦いに出征し投降した李陵を武帝の面前で擁護したため、武帝の怒りを買って宮刑(去勢)に処された後は、挫折を経験したり不遇な生涯を送った人物に対して悲しみや同情の目で見る記述が、『史記』に多く見られるようになったこと。