榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

専門的な論文集だが、素人でも御成敗式目の具体的な内容を知ることができる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3299)】

【読書の森 2024年4月23日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3299)

あちこちから、フジ(写真1~3)の芳香が漂ってきます。モチツツジの園芸品種・ハナグルマ(写真4、5)、ヤマブキ(写真6)、ヤエヤマブキ(写真7)、シロヤマブキ(写真8)、シラン(写真9)、キンギョソウ(写真10)、フクロナデシコ(写真11、12)が咲いています。我が家の庭師(女房)から、紫色のに続いて桃色のクレマチス(写真14、15)も咲き出したわよ、との報告あり。

閑話休題、『御成敗式目ハンドブック』(日本史史料研究会監修、神野潔・佐藤雄基編、吉川弘文館)は、御成敗式目をさまざまな角度から研究している学者たちの、かなり専門的な論文集です。

巻末に「御成敗式目五十一箇条」の現代語訳が添えられているので、時の執権・北条泰時がこの法を定めることによって何を期待していたのかが分かります。それは、御家人たちの訴訟について、これまで前もって定められた法が少なかったので、時によっては判断がいろいろになり判決もまとまらなかった、このために前もって法を確定して、濫訴が起きるのを防ぎたいということのようです。

制定の背景には、承久の乱後、各地で新たに地頭となった御家人たちと荘園領主との間で多くの紛争が生じ、鎌倉幕府がこれに対応せざるを得ないという切羽詰まった状況があったのです。

研究者でない私たちも、日本史上最高の政治家と目されることの多い北条泰時の、最大の業績と位置づけられている御成敗式目の具体的な内容を知ることができる一冊です。