関ヶ原合戦後の徳川家康は影武者だという伝奇小説の傑作・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3325)】
【読書の森 2024年5月20日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3325)
騒々しく囀るオオヨシキリ(写真1~5)、シオヤトンボの雌(写真6)をカメラに収めました。サツキ(写真7)、カラー(写真8、9)が咲いています。
閑話休題、『日本の歴史をよみなおす(全)』(網野善彦著、ちくま文庫)の私の書評に、読書会仲間の川野隆昭氏から「網野(善彦)史観の理解を深めるには隆慶一郎の『影武者徳川家康』を」というコメントが寄せられました。そこで、早速、『影武者徳川家康』(隆慶一郎著、新潮文庫、上・中・下)を手にしました。
『史疑徳川家康事蹟』(村岡素一郎著)の徳川家康影武者説を土台に、関ヶ原合戦で家康は暗殺され、その後は影武者が家康として振る舞うという奇想天外なストーリーが展開されていきます。
この影武者が漂泊の自由民出身であることが、本作品に膨らみと奥行きを与えています。著者が漂泊の自由民に好意的・肯定的なのは、間違いなく網野善彦の影響でしょう。
かねて史実を渉猟したいと考えている私は、『影武者徳川家康』を伝奇小説の傑作として楽しく読みました。