宇宙の起源についての最新情報・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3396)】
【読書の森 2024年7月30日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3396)
『宇宙と物質の起源――「見えない世界」を理解する』(高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所編、講談社・ブルーバックス)は、10人の研究者が、それぞれの専門分野の最新情報について解説しています。
個人的に、とりわけ興味深いのは、「宇宙膨張の起源――ビッグバンとインフレーション」の章です。
●ジョージ・ガモフが「火の玉宇宙のモデル(ビッグバン宇宙モデル)」を提唱した。
●ビッグバン宇宙モデルは、宇宙膨張、軽い元素の元素合成、宇宙マイクロ波背景放射の3つの観測事実により、補強された。
●ビッグバン宇宙モデルの問題点――地平線問題、平坦性問題、温度ゆらぎの起源、モノポール問題、グラビティーノ問題――を解決する理論として、2回目以降のインフレーションが考えられている。この2回目以降のインフレーションを起こすのは、未発見の素粒子であるスカラー場(インフラトン場)だと予想されている。
●宇宙の大きさがゼロであった時点より過去の宇宙の歴史は、現代の物理学でも分かっていない。それを説明する新理論として、量子重力理論の「超弦理論」などが候補に挙がっている。
●宇宙年齢は137.97億±0.23億年と報告された。