中国の清末の人々の暮らしぶりを描いた画が満載の一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3397)】
【読書の森 2024年8月1日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3397)
フヨウが咲いています。
閑話休題、『中国生活(くらし)図譜――清末の絵入雑誌「点石斎画報」で読む庶民の“くらし”』(相田洋著、集広舎)では、清末の絵入り旬刊紙「点石齋画報」の画を用いて、当時の中国人の暮らしぶりが紹介されています。
個人的に、とりわけ興味深いのは、●溲瓶(しびん)、●妻(さい)・妾(しょう)、●纏足(てんそく)――の3つです。
●溲瓶
溲瓶とは、寝室に置いておいて小便をするのに用いる器です。当時の中国の普通の民家には便所がなかったため必需品でした。花嫁が嫁入りする時の花嫁道具の中にも必ず含まれていました。
●妻・妾
妻は社会的・法律的に認知された正規の配偶者で、妾は夫によって継続的に扶養される不正規の配偶者です。「正妻の酷い妾虐め」の画には、「正妻が妾の腕をハサミで切っている。中国では、妻妾同居が原則だったし、妾は金で買うもので一種の奴隷だから、正妻の酷い虐めは日常茶飯事だった」と説明されています。
●纏足
纏足とは、女性の足に加える身体加工で、女性の幼児期に、親指を除く四指を緊縛して裏側に曲げて、成長を止め小足にする奇習です。掌にすっぽり入るくらいが理想とされていたようです。