オシドリの生態を詳しく知ることができる大型写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(968)】
クリスマスが近づいてきました。
閑話休題、野生のオシドリの写真を撮ろうと何年も頑張ってきた私にとって、『鴛鴦(おしどり)――福田俊司写真集』(福田俊司著、文一総合出版)は、溜め息が出る大型写真集です。
「(オシドリの)交尾の一連の行動――交尾は水中で行なわれるが、ときには陸上でも」の連続写真は圧巻です。「交尾の最高潮時、メスの身体は水中に没してしまう」と説明されています。何と、水中に完全に没しています。
「巣立ち直後の雛を連れて泳ぐメス親」には、思わず頬が緩んでしまいます。「産卵数は7卵~12卵だが、種内托卵により、雛を20羽以上連れることもある」。
「オスのエクリプス羽――雛が生まれる頃、オスはメスから離れていく。もし派手な姿のオスがそばにいれば、捕食者に家族群が発見されるリスクは増すだろう。そしてオスには、年に一度の換羽があり、初列風切羽が抜けて、一時的に飛べなくなる。オスは地味な姿に変身し、ひっそりと自ら生命を守る。一方、メスの換羽は雛たちが飛べるようになってからだ」。オスのエクリプス羽は、美しい羽が抜け落ちて、地味なメスと区別がつき難いほどです。
「夏の間、オスは地味なエクリプス羽で目立たなかったが、秋がやってくると、再び華麗な姿に変身する」。
「カップルが形成されると、彼らはしばしば群れから少し離れて、メスから、オスから、あるいは相互にグルーミングする」。その睦まじさは、焼き餅を焼きたくなります。
「オシドリは枝にとまり、潜水もする」。私も、枝に止まるオシドリたちを目撃したことがあります。
本書のおかげで、●オシドリには留鳥タイプ、漂鳥タイプ、渡り鳥タイプがいる、●オシドリは冬から春にかけて番を形成し、4月から6月に繁殖し、メスが抱卵する半ば頃、番を解消する。メスは雛・幼鳥と暮らし、オスは単独あるいは群れで過ごす。秋から冬にかけて、再び雌雄の群れを形成する、●北米には近縁のアメリカオシという美しい鳥が棲息している――ことを学ぶことができました。