「顧客志向・ビジネス志向・人間志向」は、ちゃんと機能しているか・・・【あなたの人生が最高に輝く時(13)】
3つの行動指針
当社会長兼社長の厳は、常々、自分が実行に努めている「3つの行動指針」がグループ各社で全社的に推進されることを願い、折に触れて社員に実行を働きかけている。
①顧客志向=私たちは、お客様の問題を解決し、お客様の価値創造に貢献します、②ビジネス志向=私たちは、新たな課題に絶えず挑戦し、持続的な発展を目指します、③人間志向=私たちは、すべてのステークホルダーの人間性を尊重し、仕事を通じて成長します――これが「3つの行動指針」である。
最近、実際の仕事の場で、この3つの行動指針に基づき取り組んでいる具体的な事例を若手幹部が発表すると聞き、興味津々で傍聴した。
大型プロジェクトにおける取り組み
このプロジェクトは、ある医薬品の適応拡大のためのモニタリング業務を60名体制で担当するものであるが、グループ・リーダーTによれば、成功を阻害しかねない問題点・改善課題が3つあったという。①プラセボ効果が高く、有効性証明が困難、②厳密なクライテリア(判定基準)による登録困難、③膨大な施設を担当するCRA(モニター)の意識統一の困難――である。
これらの課題解決に向けて、7名のリーダーが推進役となって、きめ細かい対策を継続的に実施した結果、顧客から非常に感謝されるとともに、最終的には、この薬を必要とする患者のもとに一日も早く薬を届けることが可能になるという大きな成果を収めることができたのである。
Tは、自分たちの取り組みを振り返って、「顧客志向=●評価されるデータ収集と治験期間短縮、●最大規模の治験成功→顧客が求める価値の提供」、「ビジネス志向=●大型案件の成功、●重要顧客から継続受注、●売上高への貢献→組織と担当メンバーに対する顧客からの高評価」、「人間志向=●リーダーならびにモニターの成長と仕事環境のQOL向上、●短時間勤務型モニターの活躍→人と組織の成長」と総括し、「『社会への貢献=顧客の繁栄=当社の増益』をメンバー全員で成し遂げた誇りの持てるチームです」と胸を張った。
ワーク・ライフ・バランスにおける取り組み
チーフのRが属する部署では30名の部員が仕事をしているが、「①特定の人に偏った残業過多→モチヴェーション低下、②個人の業務状況が見えない→改善策が打てない」ことから、仕事遂行上、弊害が生じていたので、「仕事での成果を上げるために『働き方』を見直そう」とワーク・ライフ・バランスのワーキング・グループを立ち上げることになった。
Rがワーキング・グループの推進役となり、「顧客志向=●仕事の改善ノウハウの蓄積→科学的思考に基づいた改善手法を実行できる人材の育成」、「ビジネス志向=●問題プロジェクトの抜本改善→品質向上、ならびに赤字プロジェクトの黒字化転換」、「人間志向=●残業の偏り解消→見える化により協力体制が整い、自発的な作業均等化、●ノー残業デイ→協力体制が整い、改善意識向上により現実的運用」に絞って取り組んだ結果、情報共有が進み、各自が業務全体を意識するようになり、受け身の姿勢から脱却することができた。
Rは、「『常に部員の声を聞く→各人が部署方針とのヴェクトルを意識→改善活動の継続→直ぐに行動に移す→常に部員の声を聞く→・・・』のサイクルを回すことで、各チームの総合力アップと個人のやりがいアップを実現することができたが、これに満足することなく、今後、定期的なチーム間交流会の実施、再度のアンケート分析とヒアリングに基づく労務環境改善、見える化への継続的な取り組みにより、ワーク・ライフ・バランスのさらなる改善を目指します」と先を見詰めている。