コピーライターでないMRが、名作コピー集から何を学ぶのか・・・【続・リーダーのための読書論(16)】
コピーライターの幻のバイブル
プロのコピーライターたちがバイブルと崇め、貪り読む一冊の本がある。幻の名著ともいうべき『名作コピー読本』(鈴木康行著、誠文堂新光社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能。この著者は最近の著作では「鈴木康之」と名乗っている)である。
これまでに高い評価を得たコピーの実例を数多く示しながら、懇切丁寧な解説を行っている。「ボディコピー(キャッチフレーズに続く説明的な部分のコピー)をまだ上手に書けない」後輩に対して、コピーライター業界の大先輩が「あなたのボスにかわってコピー教室を開いてあげましょう」というわけだ。
MRも多くのことを学べる
プロのコピーライターだけでなく、コミュニケーション力が必須とされるMRも、この書から多くのことを学ぶことができるだろう。
「ボディコピーの勉強には名作鑑賞がいい。その鑑賞のしかたを教えます」の章から、小野田隆雄の資生堂の作品を紹介しよう。キャッチフレーズは「汗ばむところに 手のひらで ひたひた、ひたひた。胸もと、おなか、脇腹、脇の下、そして首筋。汗ばむところはくすぐったい。そこへオーデコロン。オーデコロンは薄化粧。プンプンさせないで。ほんのりと。」、ボディコピーは「・・・・・・新しくデビューするオーデコロンのジェスペールは希望という意味です。恋が芽ばえそうな香りが3種、明日いいことありそうな香りが3種。3角形のビンが3種。あなたの希望の香りはどれでしょう。・・・・・・」となっている。これに対し、著者は「美事に『気』が利いていて、働いているのです。『気』のある優しい言葉を、あたかも香りのように漂わせています」と、「コピーライティングの気働き」に注目している。
「コピーライターとはサービス業です。コピーライティングとは『気』の仕事です」の章、「コピーの鈴木式トレーニング法、メイキャップ法を少しだけ教えます」の章、「さて、あなたにお願いがあります。熱いライブ・コピーライティングをしてください」の章と続く。
そして、「あなたのヘタなコピーを送ってください。添削してお返しします」として、巻末にコピー作品無料添削サービス券が付いているという親切ぶりである(このサービスが現在も有効かは不明だが)。
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