ジャンヌ・ダルクが聞いた神の啓示とは何か、フランス軍を勝利に導いたのに火刑に処されたのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3516)】
オオキトンボ(昆虫に造詣の深い和田猛さんに問い合わせ、判明。写真1)、ヤマトシジミの雄(写真2、3)、モンシロチョウ(写真4)をカメラに収めました。オタフクナンテン(写真5)が紅葉しています。俗にラッパイチョウと呼ばれるイチョウ(写真6~8)の葉を、撮影助手(女房)が大量の落ち葉の中から見つけました。
閑話休題、小学生の時、図書室で読んだ「オルレアンの少女」といったタイトルの子供向けの本でジャンヌ・ダルクの名を知ったが、それ以降はジャンヌに関わることなく長い年月が経過しました。
農夫の娘のジャンヌが聞いたという神の啓示とは何だったのか、フランス軍を率いたジャンヌがイングランドとの百年戦争で連戦連勝だったのはなぜか、王太子シャルルのシャルル7世としての戴冠に大きく貢献したのに、火炙りの刑に処されたのはなぜか――が気になり、『ジャンヌ・ダルク――預言者・戦士・聖女』(ゲルト・クルマイヒ著、加藤玄監訳、小林繁子・安酸香織・西山暁義訳、みすず書房)を手にしました。
私の疑問――ジャンヌがフランス軍の軍司令官として目覚ましい戦績を上げた理由、当時の複雑な国内政治抗争およびイングランドとの戦争関係を背景に、結果的にシャルル7世に裏切られた恰好で、ジャンヌが19歳で火刑により生涯を終えるに至った経緯は、本書のおかげでよく理解することができました。本書は、ジャンヌの評伝としては読み応えのある、申し分のない著作と言えるでしょう。
13歳のジャンヌが聞いた神の啓示――聖人の言葉については、著者は否定しているが、私は統合失調症の幻視・幻聴と考えています。それにしても、その幻視・幻聴を信じ切って、歴史に残るこれほどの活躍をしたとは驚きです。いや、神の啓示と信じたからこそ、これだけ積極的に行動できたのでしょう。
純潔の処女であったジャンヌの最期は、匿名の「パリの一市民」によって、このように記録されています。<火に包まれた彼女は、まもなく窒息し、その衣服はすべて燃えた。そこで一度火は抑えられ、彼女は民衆に全裸で晒され、一人の女性にありうる、あるいはあるべきすべての秘密が、民衆の疑念を排除するためにさらけ出されたのである。そして柱に縛られた彼女が完全に息絶えていることを十分かつ好きなように見届けると、刑執行人がふたたび火をくべ、炎は彼女の哀れな遺体を超える高さとなり、まもなくそれは完全に焼かれて、骨と肉は灰になってしまったのである>。
ジャンヌに黙祷!