江戸の庶民になり切って、江戸の街をのんびり散歩――老骨・榎戸誠の蔵出し書評選(その297)・・・【あなたの人生が最高に輝く時(384)】
【読書の森 2024年12月4日号】
あなたの人生が最高に輝く時(388)
●『江戸アルキ帖』(杉浦日向子著、新潮文庫)
『江戸アルキ帖』(杉浦日向子著、新潮文庫)をガイドブック代わりに、江戸の街をのんびり散歩と洒落てみよう。
現代の浮世絵師ともいうべき著者の杉浦日向子(ひなこ)が、江戸の庶民になり切って描いた127点のカラー・イラストが往時を髣髴とさせるので、読み終わる時分には、気分はすっかり江戸時代人になってしまう。
余談だが、日向子の父について、佐高信が『世界と闘う「読書術」――思想を鍛える1000冊』(佐高信・佐藤優著、集英社新書)の中で、「亡くなったけど漫画家の杉浦日向子という人がいたでしょう。あの人のお父さんというのは日本橋の呉服屋の生まれで、吉原で財産をほとんどつぶしてるんですね」と語っている。