江戸時代にタイム・トラヴェルした杉浦日向子と江戸の町を散歩しよう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(53)】
【amazon 『江戸アルキ帖』 カスタマーレビュー 2013年12月29日】
情熱的読書人間のないしょ話(53)
今週は、「○○社の新入社員が知っておくべき7つのこと」、1日置いて、「報告術、文章作成術」の研修講師を務めましたが、若い人たちのキラキラした瞳はいいものですね。その谷間に当たる日に、千葉県柏市のあけぼの山農業公園のチューリップを女房と楽しんできました。あまりの見事さに、オランダのキューケンホフのチューリップとキンデルダイクの風車を思い出してしまいました。因みに、この日の歩数は10,957。
閑話休題、『江戸アルキ帖』(杉浦日向子著、新潮文庫)では、江戸大好き人間の杉浦日向子(ひなこ)が、江戸時代にタイム・トラヴェルして、江戸の町のあちこちをのんびりと散歩します。見開き2ページの左ページに杉浦特有のほのぼのとしたカラーの絵、右ページに日記ふうの文章という構成ですが、自分も一緒に歩き回っている気分にさせられます。
例えば、「天明5年11月10日、曇り、浅草」は、こんなふうです。「なんとなく人恋しくて浅草へ行く。浅草の呑気で田舎っぽい雰囲気が好きだ。仲見世を抜けて境内で鳩の豆を買う。・・・本堂のずうっと横にそれたところに楊枝の店がある。店番の娘が、木槌で枝の先をつぶして房楊枝(歯ブラシ)を作っている。店先に、流行の本多髷に長羽織という遊冶郎(ゆうやろう)が腰を掛けていた。・・・懐手をして長煙管をぱくついている。細身の大小を落とし差しにしているところを見ると、旗本の次三男だろうか。娘は垢抜けのしない十人並みだし、息子は軽薄そのものだけれどなんだか、とっても、うらやましかった。一日でいいから、あの息子になって、他愛のない話なんかをして、小娘とにっこり笑い合ってみたいなあと思った」。
何とも、癒やされるなあ。