源平時代の人々を知るには最高の事典・・・【情熱的読書人間のないしょ話(637)】
思い出箱から小学4年生の時の冬休みの絵日記を取り出してきました。最終日に、「あしたから しっかり 勉強して すなおな いい子に そして 男らしく 気の弱くない子に なろうと 決心した」と書き付けています。これに対し、担任の木川和代先生が、「どうか この決心を 忘れないように しっかり がんばって下さいね」と励ましてくれています。
閑話休題、書斎の一角の「いつか読むぞコーナー」の一冊、『ビジュアル 源平1000人――清盛、頼朝、義経・・・源平争乱の546人と歴史を動かした偉人たち』(井沢元彦監修、世界文化社)を読み終わりました。
子供の時、読んだ講談社の絵本『牛若丸』(近藤紫雲画、千葉幹夫文・構成、新・講談社の絵本)によって歴史に対する興味を掻き立てられ、歴史好きになった私にとって、源平時代は今でも関心の深い時代です。本書は、源平時代の主要人物だけでなく、脇役的人物も網羅しているので、私の知る限り、最高の源平時代事典と言えるでしょう。
例えば、「源平合戦(平安時代末期~鎌倉時代初期)」の章では、源頼朝、源義仲、源義経などだけでなく、以仁王の挙兵に参画した人々、頼朝の旗揚げから従う人々、伊豆と相模の援軍、相模の援軍、相模・武蔵・下総の援軍。坂東の援軍、頼朝と戦った平家方の武将たち、坂東~西国の挙兵、義仲を支えた人々、義仲と戦った平家方の武将たち、平家方の落魄の群像、義仲追討軍、義経の妻と側近たち、義経を支えた家臣たち、一ノ谷で勇躍した源氏諸将、一ノ谷で敗れた平家方の人々、屋島の戦い 源氏の群像、檀ノ浦の戦い 源氏の群像、檀ノ浦の戦い 平家の群像、平家再興を図った人々、伊勢・伊賀で反乱を起こした人々、残党を狩り反乱を鎮圧した源氏武者、生き残った公家平氏や有力家人たち、生き残った平家の女性たち、源義経の都落ちに関わった人々――が列挙され、各人に説明が付されているという行き届きぶりです。
解説が直截で簡潔な点に好感が持てます。例えば、後白河天皇については、こんなふうです。「『対立する武士を巧みに利用した』などと評価されるゆえんであるが、単に場当たり的に対処しているにすぎない」。「武士を手玉に取った政界の黒幕か、はたまた政治を混乱に陥れた暗主か。毀誉褒貶の著しい人物だが、ありきたりな尺度では測れない型破りな帝王だった。側近の信西は生前、後白河を評して『日本・中国の中で、比べる者もいないほどの暗主である』と語ったという。だが、その後白河にも優れた点がふたつあったと信西は語る。ひとつは、やり遂げようと決心したことはルールや慣習に縛られることなく必ずやり遂げること。もうひとつは、耳に入れたことはいつまでも記憶していること」。
歴史好きには堪らない、よく工夫された一冊です。