榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

最後の一行に、とんでもない大どんでん返しが!・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3540)】

【読書の森 2024年12月14日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3540)

町会が開催した防災訓練に約50名の参加が得られました。ABC粉末消火器の使い方――大声で「火事だ!」、続いてピン・ポン・パンと3段階の操作――を実習したので、消火器操作に自信が持てました。起震車内の装置で震度7の激しさを実感することができました。実習後の消防隊員による説明時の質問で、119番や110番にかけるのは固定電話だけでなくスマホでもOK と確認できました。

閑話休題、短篇集『サンタクロースの贈物――クリスマス・ミステリー傑作選』(田村隆一編、河出書房新社)に収められている『警官と讃美歌』(オー・ヘンリー著、大久保康雄訳)は、最後の一行に、とんでもない大どんでん返しが待ち構えています。

ソーピーは、いよいよ迫りくる冬に備えて、食事とベッドと気の合う仲間が保証されている刑務所で過ごそうと、警官の目の前でさまざまな行動をするのだが、一向に逮捕してくれません。

なかなか逮捕されないことに戸惑ったソーピーは、通りかかった古めかしい教会から聞こえてくるオルガンの奏でる讃美歌に惹きつけられます。「自分を泥沼から引き出そう。もういちど、まともな人間になろう。自分にとりついている悪にうち勝とう。まだ遅くはない。おれはまだ比較的若いのだ。昔の真剣な野心をもう一度よみがえらせ、よろめいたりせすに、それを追い求めよう。あの厳粛な美しいオルガンの調べが、彼の心に革命を起したのであった。明日は騒々しい下町へ出かけて仕事を見つけよう」。

その時・・・。

さすが、オー・ヘンリーですね。