榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

岩波文庫版『失われた時を求めて』の全訳者・吉川一義が厳選した箴言集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2548)】

【読書の森 2024年12月22日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3548)

北風の中、野鳥観察会に参加し、30種を観察することができました。撮影技術未熟のため、上空のオオタカ、ノスリ、トビの撮影には失敗(涙)。ヒヨドリ(写真1)、カイツブリ(写真2)、ヒドリガモの雄と雌(写真3)、オカヨシガモの雄と雌(写真4)、雄(写真5)、雌(写真6)、マガモの雄と雌(写真7、8)、ウシガエルの雄(写真9)をカメラに収めました。カラスウリ(写真10)の実が茶色くなっています。サザンカ(写真11)が咲いています。因みに、本日の歩数は13,927でした。

閑話休題、『<失われた時を求めて>名文選』(マルセル・プルースト著、吉川一義編訳、岩波書店)は、長篇小説『失われた時を求めて』のストーリーをざっと知りたいという読者の期待には応えられません。

しかし、岩波文庫版『失われた時を求めて』の全訳を完成させた吉川一善が、全篇の中から厳選した箴言だけあって、マルセル・プルーストの感じ方、考え方を身近に知ることができます。

いずれも印象深い箴言ばかりだが、その一端を知ってもらうために、3つだけ挙げてみましょう。

老いと死。<老いと死とに平然と立ち向かう人たちがいるが、それはその人たちが他の人たちよりも勇敢だからではなく、想像力に欠けているからだ>。

人は自分に似る者を毛嫌いする。<われわれが毛嫌いするのは、こちらとは正反対の人間ではなく、こちらに似てはいるが劣っている人間。こちらの悪い面を露呈し、こちらが矯正した欠点をあらわにして、現在のわれわれが過去において人にどう思われていたかという不都合なことを想い出させる人間なのである>。

いちばん嘘をつく相手は自分自身。<よそ者のなかには、その人に軽蔑されるのが最も辛いのでわれわれがいちばんよく嘘をつく相手、つまりわれわれ自身をつねに入れておくべきである>。

味わい深い一冊です。