密室状態の廃墟に閉じ込められた7人全員が犯人、だけど被害者、しかも探偵・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3670)】
ビンズイ(写真1)の10羽ほどの群れに出くわしました。獲物を捕らえたアオサギ(写真2)、メダカ(写真3)、ベニシジミ(写真4、5)、ナナホシテントウ(写真6、7)をカメラに収めました。ランンキュラス・ラックス(写真8)、アイスランドポピー(写真9)、オオヒエンソウ(学名:デルフィニウム・グランディフロルム。写真10)、ダッチアイリス(写真11、12)、ボタン(写真13)、カラタネオガタマ(写真14)、フジ(写真15)が咲いています。因みに、本日の歩数は12,203でした。
閑話休題、『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』(下村敦史著、幻冬舎)は、密室が舞台の、まさに本格推理小説の王道を行く力作です。
欠陥商品で何人もの死傷者が出たため、世論から追い詰められた社長は首吊り自殺します。しかし、自殺ではなく他殺ではないかという疑念が生じ、その犯人は誰かを炙り出す目的で、密室状態の廃墟に関係者7人――社長夫人、開発部課長、営業部部長、遺族代表、運転手、清掃員、ジャーナリスト――が、何物かによっておびき寄せられます。
そこで、7人は次のことを告げられます。「諸君は今、模擬社長室に監禁されている」、「諸君、ここから脱出する手段はない。四十八時間後――この廃墟内には致死性の毒ガスが充満する」、「無能な警察は志賀川恭一の死を自殺で片付けた。それは誤りだ。志賀川恭一は誰かに殺害された。諸君の中に犯人がいる」、「致死性の毒ガスが蔓延するのは四十八時間後。諸君は息絶えることになる。ただし――志賀川恭一を殺した犯人だけは命を助けよう」。
当然のことながら、自分だけは助かろうと、唯一の生き残りを懸けて、自分こそが犯人だという必死の自白合戦が繰り広げられます。それを通じて、徐々に殺害トリックが明らかにされていきます。
これで犯人とトリックが明らかになるかと思いきや、最終盤に至り、どんでん返し、また、どんでん返し、さらに、どんでん返しと、どんでん返しの波状攻撃に、大きくのけ反ってしまいました。
全員犯人、だけど被害者、しかも探偵。密室、だけど社長室、しかも処刑室。このような多重構造の本格推理小説を構築してしまう下村敦史の頭の中は、いったいどうなっているのか見てみたいと思うのは私だけだろうか。