榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

いつまでも肩を並べ寄り添っていたかった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3702)】

【読書の森 2025年5月16日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3702)

飛翔するダイサギ(写真1)の目先が緑青色に、嘴が黒色と婚姻色になっています。サシバの雄(写真2、3)、オオバン(写真4)、カイツブリの親子(写真5、右が幼鳥)、セグロセキレイ(写真6)、コチドリ(写真7~10)、カワラヒワ(写真11、12)、コアオハナムグリ(写真13)、ヤブキリの雄の幼虫(写真14、15。和田猛さんの教示)をカメラに収めました。ヤマボウシ(写真16)、ブラシノキ(写真17~20)が咲いています。

閑話休題、『夫・火坂雅志との約束――いつか、また逢う日のために』(中川洋子・火坂雅志著、青春出版社)には、10年前に亡くした夫、歴史小説家・火坂雅志への妻の思いが籠もっています。

二人が早稲田大学生だった時、サークル仲間5人と尊敬する歴史小説家・永井路子の自宅を訪ねた帰り際、作家志望の火坂が、永井から「史料をたくさん読むのもいいけれど、単なる知識になっちゃ駄目よ。思想を持たなきゃ」とアドヴァイスされたこと。

二人はよく夫婦喧嘩をしたが、そういう時は、火坂が無言で家を出て、ものの30分もしないうちに帰ってきて、一輪の薔薇を差し出しながら、「不毛な喧嘩はやめよう」と言われたこと。つまらない諍いで無駄にする時間を惜しんでいたのだろうと述懐しています。

夫婦にはさまざまな形がある。何が幸せで、何が不幸せなのか、他人には分からない。私たちがいつもしていたように、いつまでも肩を並べ寄り添っていたかった、という言葉には、胸が熱くなりました。