「片腕を一晩お貸ししてもいいわ」と娘は言った・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3841)】
タカの渡り観察会に参加しました。サシバ10羽、ミサゴ2羽が遥か南方へ渡っていきました。いずれも遠くて不鮮明だが、サシバ(写真3、4)、トビ(写真5)、ハシブトガラスに追われるチョウゲンボウ(写真6、7)、チョウゲンボウ(写真8、9)、囀るモズの雄(写真10~13)、イソヒヨドリの雌(写真14)、アオサギ(写真15)、コウノトリの雄(写真16、17)をカメラに収めました。早朝、轢死直後と思われるアライグマ(写真18)を見つけました(刑事気取りの榎戸の状況判断)。
閑話休題、『川端康成全集(12)――古都・片腕・落花流水』(川端康成著、新潮社)に収められている『片腕』は、何とも不思議な短篇小説です。
「『片腕を一晩お貸ししてもいいわ』と娘は言つた。そして右腕を肩からはづすと、それを左手に持つて私の膝においた」と始まります。
「『あたしに明りをつけさせて下さい』。娘の腕が思ひがけないことを言つた。『はじめてうかがつたお部屋ですもの』」。
「この娘の片腕のやうに安らかに私に添ひ寝した女はなかつた」。
思いがけない作品に接して、言葉が出てきません。
そこで、ChatGPT5に「川端康成の短篇小説『片腕』とは、どういう作品か、280字で教えてください」と依頼してみました。すると、時間を置かず、「川端康成の短篇小説『片腕』(1964年)は、都会の青年と出会った女性が『一晩貸してあげる』と自らの片腕を切り離して差し出す幻想的な物語です。青年はその腕を抱き、撫で、匂いを嗅ぎ、やがて性的な欲望や孤独を託すように扱います。現実と幻の境界が曖昧に揺らぎ、肉体の部分と全体、人と人との触れ合いの不可能性が浮き彫りにされます。川端らしい耽美と孤独感、死や断絶の感覚が濃密に漂う異色の作品です」と教えてくれました。私は、片腕より女性全体のほうがいいななどと、非文学的なことを考えてしまいました。