読書は、他人にものを考えてもらうことである。・・・【ことばのオアシス(117)】
【薬事日報 2013年6月24日号】
ことばのオアシス(117)
読書は、他人にものを考えてもらうことである。
――アルトゥル・ショーペンハウアー
哲学者、アルトゥル・ショーペンハウアーの「読書について」(岩波文庫『読書について 他二篇』<斎藤忍随訳>所収)の一節。この言葉は読書を非難するものと思われがちだが、これに続く文章、「本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。・・・ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいに自分でものを考える力を失って行く。・・・したがって読まれたものは反芻され熟慮されるまでに至らない。だが熟慮を重ねることによってのみ、読まれたものは、真に読者のものとなる」――を読めば、彼の真意は明らかである。シューペンハウアーは「読んで、よく考えること」と「新刊書より古典を読むこと」を勧めているのである。
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