榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

独創性と説得力のある仮説を作り上げる魔法のノート・・・【続・リーダーのための読書論(25)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2013年3月26日号】 続・リーダーのための読書論(25)

魔法のノート

考えるノート』(佐々木直彦著、日本能率協会マネジメントセンター)は、独創性と説得力のある仮説を作り上げる魔法のノートである。このIT全盛の風潮の中にあって、敢えて紙のノートを使用するというところがミソである。

4つのステップ

「課題に対する答えは、自分の中にある」と考える著者の思考整理法は、4つのステップで構成されている。すなわち、「ステップ1=まず、頭に浮かんでくる言葉を書き取る(自分と向き合って、自分の頭をすっきりさせる整理)→ステップ2=絵を描いて考える(問題を空間の中で視覚的にとらえ、自分の見えなかったものを発見したり、気がつかなかった他人の存在に気づくための整理。ここでいう「絵」とは、イラスト、漫画や、○や△や→で作った図のようなものを意味している)→ステップ3=真ん中に『問い』を書く(未来を目指して、これからやるべきことを明確にする整理)→ステップ4=伝わるようにノートの見開きに整理する(自分の思いや、仮説を自分以外の多くの人に伝えて、巻き込んでいくための整理)」である。

僅かな時間でも、ノートを使って、自分と向き合いながら思考整理を進めていける非常に簡単な方法だというのだ。

相手の立場に立って考えたり、第三者の視点から考えたりしていくと、自分が持っていた情報だけをベースにした思考整理の不備な点が浮かび上がってくる。課題やテーマが生じたとき、突き当たった壁を乗り越えたいときに、「自分」「相手」さらに「第三者」の3つの視点から考えていくことを、著者が勧めている。

見開き2ページのノートに書き込まれた実例が多数示されているので、ノートの具体的な使い方がドンドン頭に入ってくる。

未来が拓ける

著者は、これは次のことを可能にする魔法のノートだと胸を張る。●新しい何かを創出する、●変革する、●わだかまりを解消する、●不明確な物事を明確にする、●人を動かす、●リーダーシップを発揮する、●人間関係を良好にする、●幸せな未来にする、●よい状況を持続させる、●キャリアを創造する。