榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

グーグルの人材育成担当者が明かしたグーグルの仕事術・・・【続・リーダーのための読書論(84)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2019年1月7日号】 続・リーダーのための読書論(84)

グーグルの仕事術

世界最高のチーム――グーグル流「最少の人数」で「最高の成果」を生み出す方法』(ピョートル・フェリクス・グジバチ著、朝日新聞出版)では、グーグルの人材育成担当者によってグーグルの仕事術が明かされている。

最高のチーム

グーグルでは、チームを「単に一緒に仕事をしている集団ではなくて、意図的・戦略的に、長期的に一緒に動いている集団」と定義している。

チームづくりで一番大切なのは、「社員の心理的安全性」である。心理的安全性とは。「自分らしさを発揮しながらチームに参画できる」と実感できることを意味している。言い換えれば、「チームの一員として認められたい」というチームメンバーの気持ちを大切にしようということだ。具体的には、心理的安全性を高めることで、チームメンバーの能力のレベルを、「従順→勤勉→専門性→主体性→創造性→情熱」と向上させていくことである。

優秀なマネジャー

チームのパフォーマンスを高めるマネジャーの特性は、8つにまとめることができる。①よいコーチである。②チームを勢いづけて、マイクロマネジメント(チームのメンバーに対する過度な監督・干渉)はしない。③チームのメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている。④生産的で成果主義である。⑤チーム内のよき聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている。⑥チームのメンバーのキャリア形成を手助けしている。⓻チームのためのはっきりとしたビジョンや戦略を持っている。⑧チームのメンバーにアドバイスできる専門的技術・知識を持っている。

マネジャーの役割は、「メンバー一人ひとりが安心して、自分らしく働ける場、自己認識・自己開示・自己表現できる場をつくること」なのだ。自己認識・自己開示・自己表現というステップを経た先には、自己実現がある。自己実現できれば、「自分はできる」という自信(自己効力感)を得ることができる。

チームメンバーの管理は、トップダウンで決めるKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)から、トップが示した大きなビジョンに向かって、個人が自発的にそれぞれのゴール設定をしていくOKR(Objective and Key Result、目標と主な結果)に変えるべきである。OKRの目標設定時のポイントは、●具体的、●測定可能、●達成可能、●関連性(組織やチームの目標に関連している)、●期限――の5つである。

マネジャー自身は、メンバーと同じ常務をこなすプレイング・マネジャーから、社内外の人材や組織、テクノロジーなどのリソース(資源)を活用して、いかに問題を解決していくか、いかに価値をつくっていくかというポートフォリオ(最適な組み合わせ)を考えるポートフォリオ・マネジャーへ転換すべきである。

チームメンバーのキャリア・マネジメントもマネジャーの重要な仕事である。「当然ながら、マネジャーはその前提として、メンバーが『これからビジネスパーソンとして何をやりたいのか』、明確に把握しておく必要があります。メンバーの自己認識を促すこと、つまり自分が何をやりたいのか、自分で考える習慣を育むことが、まずはマネジャーの仕事になってくるはずです」。

グーグルの流儀

●仕事はルールに縛られず自由に発想するためカオス重視。その他は、余計なことに時間をかけなくてすむようにルーティン重視。
●とにかくやってみて、すぐに「振り返り」を行う。
●フィードバックは一瞬一瞬が勝負、速いほどよい。さらに、フィードバックよりも、フィードフォワード(結果を予測して、事前に行動を変えること)を重視する。
●「報・連・相」は、やり過ぎぐらい行う。
●うまくいかない仕組みは素早く改善する。