MRの2つの必須技術の研究・・・【MRのための読書論(8)】
実績に直結するメモ活用術
一流MRは、例外なく、身近な2つの技術を使いこなしている。1つは、古くからある「メモ」の活用術であり、もう1つは、1998年に登場し、進化し続けている「グーグル」の活用術である。
「メモ」を正面から取り上げている本は意外と少ない。その意味で、『できる営業マンのためのメモテク』(松井達則著、かんき出版)は、MRにとって貴重な一冊と言えよう。
著者は、メモの基本はクライアントの役に立ちたいという精神であり、クライアントの話を「聞く(hear)」のではなく、「聴く(listen)」ためにメモをとるのだと述べている。MRという仕事は担当するドクター、薬剤師の問題解決業だと考えると、メモはその問題解決のための重要な材料・ヒントと位置づけることができる。技術的には、●文章でなくキーワードをメモせよ●完璧なメモを目指すな、とアドヴァイスしている。
私も相当なメモ魔であるが、仕事のアイディア・ヒント・疑問点はもちろん、人から聞いた印象的な話、新聞やポスターの魅力的な表現など、閃いたこと、思いついたことは何でも、その場ですぐにメモすることにしている。手元にメモ帳がなかったら、広告の裏紙、箸袋、コースターであろうと構わず書きつける。素晴らしいアイディアほど、あっと言う間に消え去ってしまう。だから、閃いた瞬間に、キーワードをメモできるか否かの勝負なのだ。
ヤフーやマイクロソフトを破壊するグーグル
「Web2.0」(第2世代のウェブ)や「ロングテール」(ネット社会に特有な、パレートの法則に反する現象)といった言葉が持てはやされる中、グーグルに関する本が多数出版されているが、『グーグル Google』(佐々木俊尚著、文春新書)は、その刺激的な将来予測で類書を圧倒している。
著者は、グーグルが既存のビジネスを破壊する、すなわちグーグルニュースが新聞社のビジネスを破壊し、グーグルネットが通信企業のビジネスを破壊し、グーグルオフィスがマイクロソフトの収益源を奪い取ると予測している。また、さまざまな製品やサービスを購入する時の人々の行動経路がポータル経由から検索エンジン経由へと急速に変わってきているため、ヤフーや楽天のようにポータルサイトで収益を上げている企業はグーグルに呑み込まれてしまうというのだ。
スタンフォード大学の大学院生2人がガレージを借りて始めたグーグルがこれほど圧倒的な力を持つに至ったのはなぜか。それは、検索の圧倒的な速度と、的確に目当ての情報を探し出す能力、そして、初めてでも簡単に操作できる使い易さといったずば抜けた検索技術で世界を制したのである。そして、グーグルは、他社を真似て始めたキーワード広告で莫大な収益を上げ、その有り余る資金を使って次々と無料サービスを打ち出し、既存のビジネスを破壊しようとしているのだ。著者は、グーグルがネット社会で強大な権力を持つことのマイナス面にも触れている。
検索力を向上させるグーグル活用術
『仕事で差がつくすごいグーグル術』(津田大介著、青春新書INTELLIGENCE)は、左ページに説明、右ページにその実際の画面が表示されているので、IT苦手人間でも、さまざまなシーンでMR活動の効率を上げることができる。
まず、基本的な「AND検索」(検索結果を絞り込む)、「OR検索」(検索する単語の候補を増やす)、「NOT検索」(特定の用語を除外する)、「フレーズ検索」(単語が分割されないようにする)を自由自在に組み合わせることによって、検索力を格段に向上させよう。
さらに、
●英語自動翻訳機能を使えば、英語のウェブページを一発で日本語に翻訳することができる
●「(会社名や商品名)□トラックバック□OR□trackback」と入力すると、その企業や商品・サービスに対する本音や評判を調べることができる
●「(調べたいテーマ)□site:ac.jp[]|[]site:ed.jp」と入力すると、自分の仕事に関する学術論文に絞って検索することができる
●「(欲しい資料の内容)□filetype:ppt(pdfdocxls)」と入力すると、MR活動に使えるプレゼン資料や表組のテンプレートを探すことができる
といった恐るべき技が多数紹介されている(□はスペース、[]は半角のスペース)。
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