榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

自分の夢をかなえる一流MRの手帳術・・・【MRのための読書論(12)】

【Monthlyミクス 2006年12月号】 MRのための読者論(12)

あなたの運命を変える手帳

毎年手帳を替えるMRと、何年も同じルースリーフ式手帳を使い続けているMRとの間には、10年、20年と経つうちに天と地ほどの差が生じてしまう。毎年手帳を替えるMRが1年単位で物事を考えているのに対し、同じ手帳を使い続けているMRは10年単位、20年単位で自分の人生を考えているからである。

一冊の手帳で夢は必ずかなう』(熊谷正寿著、かんき出版)には、一冊の手帳で自分の夢をかなえ、なりたい自分になる方法が示されている。夢をかなえる方法は、①自分の夢、やりたいことなど、すべてを手帳に書き込む、②その手帳を常に持ち歩く、③その夢を繰り返し読み返す、④繰り返し読み返すことによって、自分の頭脳にやるべきことを潜在意識化させ、実際の行動に結びつける、⑤この結果、書いたとおりの夢が実現する。なお、使用すべき手帳はバイブル・サイズ(縦18.5cm、横12.5cm、厚さ4cm)の「ファイロファックス」(ルースリーフ式の英国製システム手帳)に限ると断言している。

著者の夢を実現するためのファイロファックスは、「夢手帳」、「行動手帳」、「思考手帳」の3部構成となっている。一番重要なものと位置づけられている「夢手帳」は、「やりたいことリスト」、「夢・人生ピラミッド」、「未来手帳」、「今年の重点年表」、「DWMY・ToDo(日・週・月・年単位のやるべきこと)リスト」、「進捗確認グラフ」などから構成されている。2つ目の「行動手帳」はやるべきことをスケジュールに落とし込むためのもの。3つ目の「思考手帳」にはスケジュールを実行していく際に必要な情報が項目別にファイルされている。「一冊の手帳から、思いどおりの人生が始まる」、「手帳の使い方で人生が決まる」という夢を実現するための手帳哲学は、起業・上場に成功した著者のものだけに説得力がある。

私もファイロファックスを21年間、使い続けているが、仕事、学習・教養、趣味、健康、資産づくり、家庭に関する情報を一元管理できるので、大いに助かっている。日程管理用のスケジュール部分だけでなく、「人生の目標」、「反省事項」、「褒められて嬉しかったこと」、「仕事のアイディア」、「営業のアイディア」、「心に響く文章表現」、「榎戸版現代用語の基礎知識」、「読みたい本のリスト」などを項目別にファイルして、活用している。かっては会議ごとに「○○会議」と題した10数冊のノートを使い分けていたが、ファイロファックス一冊で用が足りるようになったことも、その効用だと思う。

私が目指す究極のMR像

21年前に感銘を受けてファイロファックスの「人生の目標」のページに書き写した文章がある。『実力』(ラルフ・G・H・シュウ著、井上富雄訳、三笠書房。出版元品切れ)の巻末の、我が敬愛する井上富雄による解説の一部分(榎戸が一部改変)である。

何としても実現させたい自分の夢がはっきりしていて、そのために何をなすべきかを知っている。考え方が常に前向き、意欲的で、決断力に富んでいる。同時に、合理的、科学的で、大局観を持ち、大きな構想を抱いている。何が重要で何が重要でないのか、何が緊急で何は後回しでよいのか的確に判断し、それに沿って仕事を進めていく。当面の目標に全力でぶつかり、うまくいかないときも簡単には諦めない。確信に満ちていて、いかなる困難な場面でも弱音を吐かない。他人に依存せず、自力で道を切り開いていく。大胆に、そして細心の注意を払ってことに臨み、仕事の進行状況や部下の仕事ぶりを適切にフォローアップする。仕事の成果は部下や関係者に公平に配分する。組織の枠にとらわれず活動範囲を積極的に拡大するが、限度をわきまえている。上司、先輩、同僚に礼は尽くすが、必要を超えたお世辞は言わない。敵と戦う術を知っており、うまく難局を切り抜けていく。そして、敵からさえも一目置かれるようになっている。仮に失敗しても、それに挫けることなく、また、いつまでもこだわることなく、すぐに立ち上がって挑戦を再開する。失敗から教訓を学び、次の成功への糧とする。

「夢の実現には、日付入りの夢手帳を」と唱えて、自身の手帳術を公開している『夢に日付を!』(渡邉美樹著、あさ出版)も一読の価値あり。