榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

あなたの運命を変える一冊のシステム手帳の秘密・・・【続・独りよがりの読書論(3)】

【にぎわい 2005年6月30日号】 続・独りよがりの読者論(3)

心が変われば、態度が変わる
態度が変われば、習慣が変わる
習慣が変われば、人格が変わる
人格が変われば、人生が変わる
これまで、この言葉にどれほど勇気づけられてきたことだろう。

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私が33歳の時に大きな影響を受けた本が、当時のベスト・セラー、『ライフワークの見つけ方』(井上富雄著、主婦と生活社。出版元品切れだが、図書館、古本屋、WEBの古本サイトで探すことが出来る)で、サラリーマンとしてのライフワークを会社の中で見つけるノウハウが説かれている。仕事、学習、教養・趣味、資産づくり、家庭の5つの分野に分けて、25年先までの年度別の目標と、それを達成するために必要な実行項目(著者は「人生25年計画表」と呼んでいる)を年の初めに書き込み、その後、毎年初めに前年計画に修正を加える作業が、驚くべき威力を発揮する。

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40歳の時に目から鱗が落ちる思いをした本が、『スーパー書斎の仕事術』(山根一眞著、ビジネス・アスキー)、『スーパー手帳の仕事術』(山根一眞著、ダイヤモンド社)、『スーパー書斎の道具術』(山根一眞著、ビジネス・アスキー)である(いずれも出版元品切れ)。これらの本で紹介されていた「山根式・袋ファイル」とシステム手帳「ファイロファックス」との付き合いは今年で20年になるが、その効能は絶大である。

「山根式・袋ファイル」の作り方・使い方は、①茶色の事務用封筒「角型2号」を購入する、②袋の上端をふたもろとも折り目から1.5cmだけ切り落とす、③袋の左端上方に図のような枠を鉛筆で書く、④その大きな枠の中に、タイトルを黒のサインペンで記入する。タイトルの上の小さな3ますにはタイトルの頭から3文字をカタカナで記入する、⑤こうして出来上がった袋ファイルには何を入れてもよい、⑥すべての袋ファイルを書棚あるいは引き出しなどに五十音順に並べる。これだけのことで、必要な時に、必要なファイル(情報)を15秒以内で取り出すことが出来る。身辺のごちゃごちゃした書類がすっきりすると同時に、ぐちゃぐちゃした脳もすっきりする優れ物である。

1984年に日本に上陸した英国製システム手帳「ファイロファックス」(ルースリーフ式で縦18.5cm、横12.5cm、厚さ4cmのバイブル・サイズ)に対する著者の熱狂的な思い入れに影響された私は、直ちに銀座の伊東屋(老舗の文具店)に駆けつけ、36000円(当時)のファイロファックスを購入したのであった。

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一冊の手帳で夢は必ずかなう』(熊谷正寿著、かんき出版)には、一冊の手帳で自分の夢をかなえ、なりたい自分になる方法が示されている。夢をかなえる方法は、①手帳に自分の夢、人生の目標、やりたいことなど、すべてを手帳に書き込む、②その手帳を常に持ち歩く、③その夢を繰り返し読み返す、④繰り返し読み返すことによって、自分の頭脳にやるべきことを潜在意識化させ、実際の行動に結びつける、⑤この結果、書いたとおりの夢が実現する。なお、使用すべき手帳はバイブル・サイズのファイロファックスに限ると断言している。

著者の夢を実現するためのファイロファックスは、「夢手帳」、「行動手帳」、「思考手帳」の3部構成となっている。一番重要なものと位置づけられている「夢手帳」は、「やりたいことリスト」、「夢・人生ピラミッド」、「未来手帳」、「今年の重点年表」、「DWMY・ToDo(日・週・月・年単位のやるべきこと)リスト」、「進捗確認グラフ」などから構成されている。2つ目の「行動手帳」はやるべきことをスケジュールに落とし込むためのもの。3つ目の「思考手帳」にはスケジュールを実行していく際に必要な情報が項目別にファイルされている。 「一冊の手帳から、思いどおりの人生が始まる」、「手帳の使い方で人生が決まる」という夢を実現するための手帳哲学は、起業・上場に成功した著者のものだけに説得力がある。

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私もファイロファックスを20年間、使い続けているが、仕事、学習・教養、趣味、健康、資産、家庭に関する情報を一元管理出来るので、大いに助かっている。スケジュール部分だけでなく、「人生の目標」、「反省事項」、「褒められて嬉しかったこと」、「仕事のアイディア」、「営業のアイディア」、「心に響く文章表現」、「榎戸版現代用語の基礎知識」、「読みたい本のリスト」などを項目別にファイルして、活用している。かっては会議ごとに「○○会議」と題した10数冊のノートを使い分けていたが、ファイロファックス一冊で用が足りるようになったことも、その効用だと思う。

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システム手帳新入門!』(舘神龍彦著、岩波アクティブ新書)では、パソコン、携帯電話などが普及したIT時代におけるシステム手帳の選び方と使い方が解説されている。特に、システム手帳とITツールの上手な併用術は実践的で、参考になる。

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夢をかなえる人の手帳術』(藤沢優月著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、キャリア・ウーマンの先輩が後輩にそっと教えてくれる感じで、自分らしく生きるための上手な時間の使い方、夢や目標をかなえるための上手な手帳の使い方が語られている。「あなたがワクワク・ドキドキすることをリスト・アップしよう」、「毎日1時間、自分のためだけの時間を持とう」という提案が印象的だ。

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キッパリ!』(上大岡トメ著、幻冬舎)では、「たった5分間でカンタンに自分を変える方法61個」がイラスト・漫画とともに紹介されている。「天高くコブシを突き上げよう!!」、「忙しい時は、『やらなきゃいけないこと』をすべて書き出す」、「メモ帳を持ち歩く」、「自分の気持ちを、紙に書き出す」、「いつも車や電車で通り過ぎてしまう道を、歩いてみる」、「一日10回、『ありがとう』と言う」、「『遅い』『今さら』『どうせ』は禁句にする」、「自分からあいさつをする」、「嬉しいこと、感動した気持ちは、どんどんまわりの人に伝える」ことを早速実行して、ワクワクする自分に変わろうと呼びかけている。

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私が最大の喜びを感じるのは、今まで知らなかったことを知ることが出来て、好奇心・知識欲を満足させることが出来た時、そして、今まで出来なかったことが出来るようになって、自分の向上・進歩を実感することが出来た時、である。この20年間、いつも私の傍らで、私を励まし、慰め、最大の喜びを感じるための手助けをしてくれたファイロファックスは、掛け替えのない親友であり、宝物である。