榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ごく小さな良い習慣が、あなたの人生を左右する・・・【MRのための読書論(168)】

【ミクスOnline 2019年12月20日号】 MRのための読書論(168)

ジェームズ・クリアー式

ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』(ジェームズ・クリアー著、牛原眞弓訳、パンローリング)では、ごく小さな良い習慣を身に付けるか否かで、人生に大きな差がついてしまうことが強調され、良い習慣を身に付けるための具体的かつ段階的な方法が、認知科学と行動科学に基づき示されている。「ここで取りあげる戦略は、目標が健康、お金、生産性、人間関係、もしくはその全部でも、段階的な方法を求めている人なら、誰にでも合うはずだ」。

小さな習慣の威力

●習慣は自己改善を複利で積み上げたものである。毎日1%の改善が長期的には大きな改善になる。
●習慣は諸刃の剣である。役立つこともあれば、足を引っ張ることもある。だからこそ、よく理解することがとても大切だ。
●目標ばかり追っていてはいけない。仕組みから取りかかろう。

アイデンティティを変える

●変化には3つの段階がある――結果の変化、プロセスの変化、アイデンティティの変化。
●アイデンティティは習慣から生まれる。あらゆる行動が、なりたいタイプの人への一票を投じることになる。
●最高のバージョンの自分になるには、常に信念を修正し、アイデンティティの改善と拡大をする必要がある。

4つのステップ

●習慣とは、自動的に行うようになるまで、何度も繰り返した行動である。
●習慣の最大の目的は、人生の問題をできるだけ少ないエネルギーと努力で解決することである。
●どの習慣も、きっかけ、欲求、反応、報酬という4つのステップを含むフィードバック・ループに分解することができる。
●「行動変化の4つの法則」は、良い習慣を身に付けるために利用できるシンプルな法則である。つまり、①はっきりさせる、②魅力的にする、③易しくする、④満足できるものにする。

環境を重視する

●良い習慣のきっかけを、環境の中で目立つようにしよう。
●習慣は次第に1つの引き金だけでなく、行動を取り巻く背景を体と結びついてくる。すると、その背景がきっかけとなる。

自制心を保つ

●自制心のある人たちは、誘惑の多い状況にはなるべく身を置かないようにしている。誘惑に抵抗するより、避けるほうが簡単だ。
●悪い習慣を断つための最も実際的な方法は、その習慣を引き起こすきっかけをなるべく避けることである。

習慣を魅力的にする

●魅力的なものほど、習慣になり易い。
●習慣はドーパミン主導のフィードバック・ループである。ドーパミンが増えると、行動のモチベーションも上がる。
●行動へ駆りたてるのは、報酬の実現ではなく、報酬の予測である。予測が大きいほど、ドーパミンが急増する。

悪い習慣を断つ

●悪い習慣がつまらなく思えるように、それを避けることで得られる利益を強調しよう。

先延ばしを止める

●2分間ルールとは、「新しい習慣を始めるときは、2分間以内にできるものにする」というものである。
●プロセスの始まりを儀式化するほど、大きなことをするのに必要な、深く集中した状態に入り易くなる。

習慣を長続きさせる

●経験して満足できると、その行動を繰り返し易い。
●習慣を長続きさせるには、たとえほんの少しでも、成功したとすぐに感じることが必要である。

良い習慣を毎日続ける

●最も満足を感じるのは、進歩していると感じるときである。
●習慣トラッカーは、カレンダーに×印をつけるように、習慣を行ったかどうかを測るシンプルな方法である。
●習慣トラッカーや、その他の目に見える測定法は、進歩のはっきりした証拠となるため、習慣を満足できるものにする。

私も習慣トラッカー的な方法を実行している。身に付けたいが、まだ真の習慣にはなっていない項目――例えば、背筋を伸ばした姿勢、屈伸運動、竹踏み、ドライ・アイ防止の人工涙液点眼、昼食後の歯磨き、間食禁止、禁酒など――が守れたか否かを、毎日、一覧表でチェックしているのだ。

モチベーションを保つ

●ゴルディロックスの原理によれば、人は現在の能力ぎりぎりの作業をしているときに、モチベーションが最も高くなる。
●成功を最も脅かすものは、失敗ではなく退屈である。
●やる気があるときは、誰でも頑張れる。仕事が楽しくないときでも続けられる能力が違いをもたらす。

習慣を見直して修正する

●習慣+計画的な練習=熟練。
●見直しと考察というプロセスによって、自分のパフォーマンスを経時的に意識できる。

「小さな変化を積み上げていくと、しだいに人生の天秤が動きはじめる。ひとつひとつの改善は、ひと粒の砂を天秤のプラスのほうへ加えていって、物事を自分の有利なほうへ傾けていくようなものだ。もし続けていけば、ついには転換点を迎える。すると突然、良い習慣を続けるのが楽になる。仕組みの重みが不利にではなく、有利に働くからだ」。