まだあげ初(そ)めし前髪の 林檎(りんご)のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛(ぐし)の 花ある君と思ひ(い)けり・・・【ことばのオアシス(22)】
【薬事日報 2010年1月15日号】
ことばのオアシス(22)
まだあげ初(そ)めし前髪の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(ぐし)の
花ある君と思ひ(い)けり
――島崎藤村
島崎藤村の第一詩集『若菜集』に収められた有名な「初恋」の最初の部分。中ほどに「人こひ(い)初めしはじめなり」とあるように、初めて知った胸のときめきが林檎畑を背景に瑞々しく歌われている。
誰もが経験する青春の甘酸っぱい思い、青春の初々しい息吹が人々の共感を呼び、長く愛誦されてきたのだろう。
戻る | 「ことばのオアシス」一覧 | トップページ