木曾殿と背中合わせの寒さかな・・・【ことばのオアシス(78)】
【薬事日報 2011年9月2日号】
ことばのオアシス(78)
木曽殿と背中合せの寒さかな
――島崎又玄
木曽(源)義仲の墓所、義仲寺(ぎちゅうじ)にある句碑に刻まれた松尾芭蕉の門人・島崎又玄(ゆうげん)の句。義仲を慕い続けた芭蕉は、たびたびこの寺を訪れ、越前の?が城跡では「義仲の寝覚の山か月かなし」の句を詠んでいる。芭蕉は「旅に病んで」没したが、「骸(から)は木曽塚に送るべし」が遺言であった。彼の遺骸は義仲寺に運ばれ、義仲の墓の隣に葬られた。又玄の句が、芭蕉の義仲への思慕の深さをしみじみと今に伝えている。
芭蕉の句はいずれも味わい深いが、私が一番好きなのは、奥州・平泉の高館で藤原三代と源義経の栄枯盛衰に思いを馳せた「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」。
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