「さまよえる湖」は、どこへ行ってしまったのか・・・【山椒読書論(405)】
【amazon 『幻の楼蘭・黒水城』 カスタマーレビュー 2014年1月31日】
山椒読書論(405)
1980年4月に、NHKの「シルクロード」取材班が、スウェン・ヘディンの「さまよえる湖」説で知られる中央アジア・タリム盆地のロプ・ノールの撮影を試みたが、目的を達することはできなかった。ヘディンが1934年にカヌーを浮かべたロプ・ノールが消えてしまっていたからである。いったい、ロプ・ノールはどこへ行ってしまったのか。
1983年には、中国科学院の夏訓誠が、「ロプ・ノールはさまよえる湖ではない」という説を発表している。ヘディンによって見事に解決されたかに見えたロプ・ノールを巡る論争は白紙に戻ってしまったのである。
現在のロプ・ノールの姿を知るには、カラー写真が豊富な『幻の楼蘭(ローラン)・黒水城(カラホト)』(井上靖・岡崎敬・NHK取材班著、日本放送出版協会。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)が便利である(なお、本書の新コンパクト・シリーズ版は、写真が少なく、魅力が半減しているので、注意が必要)。