フクロウたちの豊かな表情と仕種に思わず頬が緩む写真集・・・【山椒読書論(477)】
【amazon 『ふくろう』 カスタマーレビュー 2014年8月16日】
山椒読書論(477)
『ふくろう――BEAUTIFUL OWLS IN THE WORLD』(PIE BOOKS編集・制作、アフロ、アマナイメージズ写真、パイ インターナショナル)は、実に素っ気ないコンパクトな写真集である。世界の50種のフクロウの生態写真が掲載されているだけで、前書きも後書きもない。辛うじて、巻末に、各フクロウの種名、主な棲息地、平均的な大きさ、特徴などがまとめられているだけだ。
説明文は一切ないが、フクロウたちはいずれも表情豊かである。
あくびをしているようなインドコキンメフクロウ、頬を寄せ合っているインドコキンメフクロウ、とぼけた表情のアメリカキンメフクロウ、片足立ちをするコキンメフクロウ、仲間に口づけされて片目をつぶったアナホリフクロウ、正面を向いたまま直角に傾けた顔と体が縦に一直線になっているアナホリフクロウ、笑っているようなエゾフクロウ、ヴェネチアのカーニバルの装いのようなウサギフクロウ、その名のとおり木の葉のように木と一体化したコノハズク、戦いに臨む戦国武将のように精悍な表情のアフリカワシミミズク、顔面が木の年輪のようなカラフトフクロウ、上目遣いで睨むシロフクロウ――と、多士済々だ。
日本に棲息する11種のフクロウ――キンメフクロウ、フクロウ、シマフクロウ、アオバズク、コノハズク、リュウキュウコノハズク、トラフズク、コミミズク、オオコノハズク、シロフクロウ、ワシミミズク――のうち、ワシミミズクの写真が欠けているのはなぜだろうか。ぜひ載せてほしかったなあ。