見終わった後、幸せな気分が持続する老婦人と青年の物語・・・【山椒読書論(514)】
【amazon DVD『クレアモントホテル』 カスタマーレビュー 2015年3月27日】
山椒読書論(514)
久し振りに心洗われる映画に出会えた。ヒロインの老婦人と私の年齢が重なっているから、余計そう感じるのかもしれないが。
DVD『クレアモントホテル』(ダン・アイアランド監督、ジョーン・プロウライト、ルパート・フレンド出演、紀伊國屋書店)のストーリーは至ってシンプルである。
ロンドンの街角で孤独な老婦人と、人間関係が苦手な青年が偶然出会う。時代から取り残された小さなホテル、クレアモントホテルには、人生の終着点が近づいた人たちが長期滞在している。このホテルを舞台に、老婦人と青年の心温まる交流の時が流れていく。最愛の夫を亡くし、中年の娘から干渉されることを厭い、このホテルにやって来た上品な老婦人と、作家を目指しながら独り暮らしをしている青年に共通するのは、人を思い遣る気持ちを大切にしていることと、詩が好きだということだ。
最後のシーンで流れる青年の独り言が印象に残る。「人は出会いを繰り返す。その中には ほんの短い間でありながら 心に消えない足跡を 残す人がいる。ありがとう さよなら ササ。永遠に あなたのルード」。
素敵な映画を見た後は、幸せな気分が持続するなあ。