48歳のしがない料理人と、62歳の女性流行作家の、不思議な関係・・・【山椒読書論(534)】
【amazon 『黄昏流星群(37)』 カスタマーレビュー 2020年1月26日】
山椒読書論(534)
コミックス『黄昏流星群(37)――深夜の双星』(弘兼憲史著、小学館)に収められている「深夜の双星」は、48歳のしがない料理人と、62歳の女性流行作家の、不思議な関係の物語である。
深夜、西新宿6丁目で小さな食堂をやっている大屋康介の所に客として現れた女性から誘われ、彼女の億ションで関係を持つ。その女性が流行作家の浮世美砂子であることを、康介はテレビで知る。
康介は、月50万円で山梨・小淵沢の別荘の管理をしてほしいという美砂子の申し出を二つ返事でOKする。「条件は、毎週週末に10人前後の人間が集まってパーティーをする、その料理を担当すること。そして日曜日の夜、浮世美砂子を抱くこと・・・。婆さんにしては味は悪くない。あとは月曜から金曜まで何もせずにこの別荘でゴロゴロしていればいいのだ。別荘のまわりは自然に囲まれていて、荒んだ生活を50年近く続けていた俺にはとてもいいオーバーホールの時間だった。その上、50万という安定収入がある。何ひとつ不満はない」。
康介が、暫く美砂子が別荘に姿を見せないなと思っていたところに、弁護士から彼女が8階の病室から飛び降り自殺したという電話が入る。
翌日、やって来た弁護士から、遺言状により、この別荘が康介に遺贈されると告げられる。そして、康介に宛てた未開封の手紙を渡される。その美砂子の手紙に書かれていたことは・・・。
私とは別世界だが、こういう愛の形もあるのだなあ。