榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

現在、ウイグルで進められているウイグル人ジェノサイドの実態・・・【山椒読書論(539)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年3月4日号】 山椒読書論(539)

命がけの証言』(清水ともみ著、ワック)では、現在、ウイグル(東トルキスタン)で進められている中国共産党によるウイグル人ジェノサイドの実態について、7人(うち1人については遺族)が命懸けの証言を行っている。これは、ナチスによるホロコーストに匹敵する民族浄化だ。

●「教育による改心が必要」だと送致される施設は180か所を超え、100万人以上のウイグル人が収容されていると言われる。

●収容される「職業訓練センター」の通気口からは異臭がし、隣の土地には、なぜか大きな穴が掘られていたり巨大な焼却炉が建設されている。

●今現在も新疆ウイグル自治区では、新しい職業訓練センター再教育施設が急ピッチで建設され続けている。

●(再教育施設では)収容者は16平方メートル(約8.8畳)に20人が押し込められ、全員髪はそられていました。トイレはバケツが置かれ、1回2分、2分以上は罰せられます。そのバケツは1日1回だけ空にされました。

●(再教育施設では)何か書く時以外、手足は一日中拘束されます。眠る時もずっとです。

●(再教育施設では)警官たちがかわいい女の子を選び、どこかへ連れていくのは毎晩のことでした。彼女たちは一晩中帰ってはきません。

●(再教育施設では)200人の男女の前で、ひとりの女性に皆の前で自分の罪を告白しろと命じました。(大声で告白後)「ようし! 服を脱げ!」。警官たちは次々と彼女に襲い掛かりました。そしてその間、私たちがそれを見て、どのように反応しているかを確認していました。顔を背けたり目を閉じたり怒りやショックを表した人は連れ去られ、その後二度と姿を見ることはありませんでした。

●(センケン女性刑務所では)私たちは朝から15時間座りっぱなしの罰を受けます。時々、全裸でおかしな恰好をさせられ、屈辱的な検査を受けました。

●(センケン女性刑務所では)24時間、数人の警官から言葉に出来ない凌辱た拷問を受け続け、私は何度も気絶し、病院に運ばれました。

●(センケン女性刑務所では)警官が(出産したばかりの赤ちゃんから引き離された母親に)トイレで母乳を絞れと命じ、彼女自身が警官の目の前で絞らされていました。

●妹は妊娠6か月の状態で釈放され、首を吊って死にました。まだ18歳だった。

●子供を2人以上産んだり、出産のカンカクヲ3年以上空けなければ、臨月の女性でも堕胎させられるのです。

●50歳までの女性全員が避妊のための検診や措置を受けさせられ、自費で麻酔無しの避妊手術を強制されます。

●2017年頃から当局は「全民検診」と称する無償の健康診断を行い、12歳から65歳までの血液・DNA・生体データが収集された。

●カシュガルの空港には臓器専用の運搬通路が存在している。

●ウイグル人のアニワルトフティ医師が、3、4か月行方不明になって帰ってきた子の身体を調べたところ、腎臓が片方なくなっていたそうです。眼球や臓器のない遺体で見つかった子もいます。

●都市部には臓器移植の専門病院があり、海外から移植ツーリストも受け入れています。実際に中国の大手航空会社が年間500個の臓器を運んだ記録も実績として発表しました。中には、ハラル臓器(酒や豚肉を摂取していない臓器)専門病院の広告もあります。

●(工場では)多くのウイグル人もほぼ強制的に連れてこられ、奴隷のような苛酷な環境で働いていることも多いのです。

●若い娘たちは集団で地方に働きに行かされ、ひとりっ子政策で男あまりの漢人と結婚さえられたり、売春婦として売られたりしている。

「2015年、中国統計局の発表によると、ウイグル人の人口は1130万人、ところが2020年、外国から訪れる外交官等へのお土産の説明に、ウイグル人の人口は721万人だと記されています。この数年間で約400万人のウイグル人はいったいどこに消えたのでしょうか」。

本書は、ウイグル人だけでなく、モンゴル人、チベット人、香港人にも同様のことが行われていると警告を発している。