森の奥で、村の人々が目にした大工のおじいさんのびっくりプレゼントとは・・・【山椒読書論(627)】
【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月11日号】
山椒読書論(627)
絵本『聖夜のおくりもの』(トリシャ・ロマンス文・絵、中村妙子訳、岩波書店)は、ずっと昔の、大工のおじいさんと、ひとりぼっちの子トナカイの物語です。
「森からあまりとおくない村に、おじいさんの大工がすんでいました。森から木を切りだしては、村のひとたちのために、すみごこちのいい家をたててきましたが、ようやくじぶんの家をつくることになりました。うれしいこと、たのしいことのおこる家、いつでもかえっていけるじぶんの家。そういう家をたてようと、おじいさんは思いついたのです。そこである冬の日、おじいさんは草地の草をかったり、木を切りたおしたりしました。ちかくにあった、こわれかけた小屋が、しごと場になりました。トンカチ、トンカチという音に、トナカイの子が森からやってきました。おや? なにがはじまったんだろう。小さなトナカイとおじいさんは大のなかよしになりました。おじいさんはトナカイにリトル・スターというなまえをつけました。トナカイはおじいさんにとって、くらい冬の日をあかるく照らしてくれる小さな星だったのです」。
「やっとクリスマス・イヴになりました。おじいさんのすてきな家ができあがるまでてつだってくれたしんせつな村のともだちが、そろっておいわいにきました」。
「ごちそうを食べおわったころ、小さな子がはずかしそうにききました。『こんやはびっくりプレゼントがあるって、ほんとなの?』。おじいさんはそっとこたえました。『ほんとかどうか、みんなで見にいこうじゃないか』」。
「おとなも子どもも、コートやショールにくるまり、ランタンを手に、リトル・スターとおじいさんのあとについて、雪の森にでかけました」。
森の奥で、村の人々が目にしたおじいさんのびっくりプレゼントとは、いったい何だったのでしょうか。