榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

子供の頃のクリスマス・イヴのワクワク感が伝わってくる作品・・・【山椒読書論(628)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月12日号】 山椒読書論(628)

絵本『ヘレンのクリスマス』(ナタリー・キンジー -ワーノック文、メアリー・アゼアリアン絵、千葉茂樹訳、BL出版)は、自動車も電話も電気もない時代のアメリカ北部のバーモント州で育った著者の祖母ヘレンが迎えたクリスマスが描かれています。

「ヘレンのようなクリスマスをむかえるには、クリスマス・イブの夜、干草をしきつめたそりにのって、バッファローの毛皮とウールの毛布にうもれ、教会へいかなければいけません。教会のまどは、キャンドルのあかりで、あかるくかがやいているでしょう」。

「あしたになれば、ペパーミント味のキャンディスティックや、ポプコーンボール、おにいさんたちのおもちゃのトラックやそり、おねえさんたちの人形がまっていることでしょう。そして、ツリーの下からさいごにでてくる箱には、あなたのためのスケートぐつが。でも、いまはまだ、くつしたのなかのおかしも、ツリーの下のプレゼントも、もらうまえのばん」。

いつの時代も変わらぬ、子供の頃のクリスマス・イヴのワクワク感が伝わってくる作品です。