榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

独り暮らしの馬子の清吉の家を、ある月夜、見知らぬ美しい娘が訪れた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(896)】

【amazon 『月見草の花嫁』 カスタマーレビュー 2017年9月28日】 情熱的読書人間のないしょ話(896)

小学2年生33名を対象とする読み聞かせヴォランティアで、『月見草の花嫁』を読みました。

月見草の花嫁――佐賀民話の語りより』(飯野和好絵・文、BL出版)は、子供だけでなく、大人にとっても味わい深い絵本です。

「馬子の清吉は 亡くなった両親(ふたおや)が のこしてくれた馬だけが 生きがいであった。その日もしごとをおえ 馬に草をやり ぼんやりしていると おもての戸が とんとんとなった。『いまごろ、だれだろう?』」。

「戸をあけると 月あかりのなかに うつくしいむすめがたっていた。『あの、宿への道を まちがえてしまいました。もうしわけありませんが ひとばんの宿を おねがいできませんでしょうか』。『おひとりで? それはお困りでしょう』と 清吉はやさしくむすめをむかえいれ 夕げのよういをしてあげた。むすめに夜具をしき 清吉は土間で一夜をあかした」。

次の日、「夕方もどると 家のだいどころの小窓から 青々と夕げのけむりが たっている。『あ、月夜(さよ)さん どうしたのです?』」。

「おかえりなさい。じつはわたしは どこにもたよるところのない身のうえ。どうかここに おいていただけないでしょうか』。『えっ』。ふしぎなきもちの清吉。そして月夜と清吉は その夜から夫婦(めおと)になった」。

「ずっとひとりだった清吉は 月夜がよろこぶことなら なんでもしてあげようと しごとにせいをだした」。男性は、愛する女性のためなら、いくらでも頑張れるのです。

二人にとって幸せな日々が続いていきます。

ところが、一年が過ぎた、ある日、・・・。